ストルバイト結石症は、去勢したオス猫が特にかかりやすい病気です。 場合によっては、抗菌薬が処方されることもありますが、 メインの治療は食事療法になり、専用のキャットフードがあります。 動物病院では、ロイヤルカナンかヒルズを勧められることが多いと思います。 ロイヤルカナンとヒルズは、どこの動物病院にも置いてありますよね。 ほかのメーカーからも、ストルバイト結石の治療用キャットフードが出ていますが、扱っている動物病院は少ないです。 そのため、最初はロイヤルカナンかヒルズプリスクリプション・ダイエットの2択になることが大半です。 こうした試供品が置いてあると思いますので、好みがうるさい猫ちゃんの場合は、実際に食べさせてみてから購入するのがおすすめです。 我が家の猫さんの主治医の話によると、ヒルズのプリスクリプション・ダイエットよりもロイヤルカナンのpHコントロールの方を好む猫が多いそうです。 私もどちらかというと、ロイヤルカナンの方がおすすめです。 理由は、 ロイヤルカナンpHコントロールは、治療用のキャットフードを維持食としても使えるから。 軽症の場合は、獣医師の判断で初めから維持食を与える場合もあるようです。 『獣医師専用、獣医師の診察と指導が必要な製品』と書かれていますから当然なのかも知れませんが、我が家の近所では動物病院以外でロイヤルカナンのpHコントロールは売っていません。 ネットショップでの通販はありますね。 でも通販だと届くまでちょっと時間がかかるので、治療食から維持食へと切り替えしなくてもOKな点が楽です。 試食した猫さんもどちらかというとロイヤルカナンかな?みたいな感じなこともありましたが…。 療法食は、あんまりおいしくないみたいですね。 この3種類がロイヤルカナンのpHコントロールの基本• pHコントロール0 尿pH 5. 8〜6. 2に調整 溶解作用が一番強い• pHコントロール1 尿pH 5. 8〜6. 2に調整• pHコントロール2 尿pH 6. 0〜6. 5に調整 そのほかにも、カロリーが低めのライトや、猫の食欲をそそる香りが強いオルファクトリーなどがあります。 ちなみにうちの猫さんは、pHコントロール0とオルファクトリーを利用していたことがありますが、どっちも「あっ…今日のごはんはこれか orz」ってな感じでした。 ロイヤルカナンのpHコントロールにはウェットフードがありますが、こちらも今ひとつの味なようです。 ライトは、pHコントロール1・2と同等の溶解作用、オルファクトリーは、pHコントロール0と1の中間の溶解作用があります。 pHコントロール1は、ストルバイト用に開発されましたが、シュウ酸カルシウムでも使えるように改良されています。 pHコントロール2は、シュウ酸カルシウム用に開発。 改良後ストルバイトでも使えるようになりました。 尿pHをみて獣医師が1番合っているキャットフードを指示してくれますので、猫ちゃんの体調に合わせたものを与えましょう。 ロイヤルカナンの韓国工場はどうなった? 2017年から、ロイヤルカナンの生産工場が韓国になるという話がありましたね。 既に2017年も終わりに近づいています。 いつから韓国産になるの?と思いロイヤルカナンに問い合わせてみました。 回答をまとめると…• 工事の遅れから2018年半ばから韓国工場を使う予定• 韓国工場のものは日本以外のアジア諸国のみの販売予定• 日本は今まで通りフランス産を輸入 日本へは、従来通りフランスの工場で生産したものを輸入する予定だそうです。 これからも安心ですね! それでは、2匹の猫ちゃんの体験記をお読みください。 2匹の猫さんのロイヤルカナンpHコントロールフィッシュテイスト体験記 我が家には、2匹の猫がいます。 3歳の雄猫ハナ場合 3歳の雄猫(雑種、黒)は、もともと体があまり強くないのに加え、水をあまり飲まないのが原因で数年前に下部尿路疾患(ストルバイト結石症)と診断されました。 緊急外来で手術をして石を取り除きました。 それ以来獣医師のすすめで ロイヤルカナンのpHコントロールフィッシュテイストドライを愛用しています。 それまでは特にこだわりなくホームセンターなどでキャットフードを買っていましたが、獣医師にpH コントロールのフードは継続しなければまた石が詰まってしまうと警告されたためずっとこれを愛用しています。 それからは体調もよく、定期的に健診に行っていますが、おしっこのpHの値も正常です。 「pH コントロール」と表記されているものであれば特にメーカーは何でもよいと獣医師にいわれましたが、ロイヤルカナンのものを愛用しているのは、まず入手をしやすいことです。 病院以外でもホームセンター、楽天等のインターネットサイトで簡単に購入できます。 また「ロイヤルカナン」というブランドの信用性が高いことも決め手の一つです。 成分表示から原産国、キャットフードに対する考え方等がしっかり公表されておりとても安心できます。 正直なところ、他社に比べて値段はかなり高く継続使用はなかなか大変です。 猫がフードを吐いてしまったりすると、 「ああ、もったいない。 私のご飯より高いかもしれないのに!」などと家族で冗談を言ったりします。 しかし大事な猫のためには必要な出費と考えています。 神経質な猫なのでフードが変わることでちゃんと食べてくれるか使用前は心配でしたが、 フィッシュテイストの味が気に入ったのか食いつきはすごく良く安心しました。 今ではこれ以外のキャットフードに見向きもしません。 毎日三回ご飯の時間になるとキャットフードの置いてある場所で待機している姿がとてもかわいいです。 5歳のメス猫たぬの場合 また我が家にはもう一匹5歳の猫(雑種、錆)がいて、 この猫もこのキャットフードを愛用しています。 この猫はストルバイト結石症ではないのですが、 以前交通事故で車にはねられ背骨を骨折し、 手術で歩けるようになりましたが排せつが自力でできません。 排せつ補助として毎日3回おっしっこを絞るのですが、おしっこを体にためてしまいがちになるため これも獣医師のすすめでpHコントロールのフードを継続使用することになりました。 結石症に限らず、うちの猫のようにおしっこをためてしまいがちな猫や、 高齢で代謝が下がってきている猫等にもpHコントロールの商品は効果があるようです。 以上の経験から私はこのキャットフードをおすすめします。 関連ページ 口コミで評判の「カナガンキャットフード」を試してみました。 買おうか迷っている方の参考にできるよう、体験レポートします! カナガンキャットフードを購入しても子猫が食べるかどうか心配!食べさせる量がわからない!などの疑問点を実際に購入して解消します! カナガンキャットフードを与えてみましたが、匂いを嗅いだだけで、全く食べてくれませんでした。 さてどうやって解決すればいいのでしょうか? 楽天ポイントをたくさん持っている人は当然楽天でカナガンキャットフードを買いたいと思うことでしょう。 しかし、カナガンキャットフードを楽天で・・・ 実はカナガンキャットフードにはウェットフードの猫缶もあるんです。 ご存知でしたか?我が家の猫にカナガン猫缶を試食してもらっての口コミレビューをします! シンプリーキャットフードをフードの専門家が体験し、徹底的に分析を加えます。 購入を迷っている人必見の口コミレビュー! ドライフードを食べない我が家の子猫にシンプリーキャットフードを与えたところ、たいへんなことになってしまいました。 ジャガーキャットフードを猫エサ選びのプロが本気で分析しました。 この結果を見てもあなたはジャガーキャットフードを買いますか? ジャガーキャットフードを子猫に与えても大丈夫?我が家の子猫で試してみた! モグニャンキャットフードを試しましたので口コミレビューします。 気になる特徴や原材料、成分、添加物、最安値で購入する方法もお伝えします! 4か月の子猫にモグニャンキャットフードをお試し!果たして大丈夫だったのか?危険な成分は含まれていなかったのか?口コミレビューします! モグニャンキャットフードには100円のお試しがあるんです。 しかし、わたしは、なんと無料!でモグニャンをお試しすることに成功しました。 その方法とは?モグニャンをまずは試してみたいという方は必見の情報です! プロの目からオリジンキャットフードを体験レビューします!オリジンキャットフードを気をつけたほうがいい場合とは? 専門知識のあるペットショップ店員がファインペッツキャットフードをぶった斬り!少々辛口の体験レポートです。 成分、添加物などの安全面についても解説します。 サイエンスダイエットキャットフードアダルト用チキンをレポートします。 材料や栄養素、食いつきについても専門家目線でまとめてみました。 サイエンスダイエットキャットフードは危険ってホント?実際に商品を購入したうえで真相を探ってみた! ピュリナワンキャットフードの家禽ミールが危険ってホント?徹底的に調べてみました。 またピュリナワンキャットフードを我が家の猫に食べさせた感想も口コミします! 『ロイヤルカナン腎臓サポート』キャットフードの真実情報と体験記をお伝えします。 ロイヤルカナンpHコントロールは、具体的にどう違うのかよくわからない人が多いようでしたので動物病院で違いを教えてもらったので一覧にまとめます。 ロイヤルカナンのpHコントロールには、ウェットパウチもあります。 pHコントロールドライと同様にウェットも療法食になります。 原材料と成分情報や我が家の猫さんに食べさせてみての効果を体験レビューします。 いなばチャオ猫缶を、何も気にせず購入している人もいるかもしれませんが、注意が必要です。 我が家の猫に与えてみた口コミレビューと合わせて注意点をお伝えします。 うちの猫10歳を過ぎた頃から、フードを口に入れても、噛めないまま「ポロッ」と出てくるようになりました。 それからフード探しに奮闘することに。 高齢猫にオススメのキャットフードをご紹介します。 我が家の4匹の猫たちのスペシャルごはんとして月に数回キャットフード『フリスキー缶お肉シリーズ』をあげています。 口コミレビューします! 我が家の猫4匹中1匹が若い頃から尿路結石持ち。 試しにカルカン下部尿路の健康維持用キャットフードを使用!効果などについて口コミレビューします! フィッシュ4キャットの評判を鵜呑みにしてはいけません。 私が本音で口コミレビューします! アメリカのプレミアムキャットフード『アーテミス オソピュア』を試してみました!我が家の猫の評価を知りたい方は集まれ! ナウフレッシュキャットフードは本当に評判通りのキャットフードなのか?我が家の猫さんに食べてもらいました。 口コミレビューします! 『ナチュラルチョイス毛玉トータルケア』キャットフードを試してみました!効果は?食いつきは?全部まとめて口コミレビューします! 猫は自分でご飯を選べませんので、モンプチキャットフードについても栄養成分について徹底的に調べてみました。 調べた情報を記事にまとめてみました。 キャットフードの口コミ評判が気になる方必見!猫エサに関する体験レポートを綴ります。 カルカンパウチキャットフードの安全性を徹底的に調べてみた。 またカルカンパウチの食いつきは評判どおりなのか我が家の猫さんで検証してみます。 ねこはぐキャットフードを我が家の猫に食べさせてみた。 特徴や原材料、成分、安全性、食いつきなど 気になる情報を口コミレビューします! アニモンダ フォムファインステンデラックス キツンの安全性について、成分・原材料から徹底分析します!子猫に食べさせても大丈夫なのか本音で口コミ! プロパック キャットフードの評価・評判の気になる飼い主さんのために体験レビューしました!.
次の基本的に猫は犬や人間よりも健康な動物だといわれています。 晩年は腎臓病やがんなどを患うことが多いですが、若いうちは殆ど病気をしません。 10歳を超えていてもワクチン以外で動物病院に行ったことがないという猫ちゃんも多いでしょう。 しかし尿路結石だけは別物です。 1〜2歳の若い猫から高齢猫まで、まんべんなく発症します。 慢性的に膀胱炎を起こすだけでなく、完全に尿道に詰まり尿毒症になると命にも関わる危険な病気です。 概要 2. 検査 3. 治療 4. 予後 1. 概要 若齢から高齢までまんべんなく発症がみられます。 雌雄ともにみられますが、雄で問題になることが多いです。 雄猫の尿道は細く、S字に曲がっているため結石が詰まりやすいためです。 早期に発見されれば予後は良好ですが、発見が遅れると命に関ることもあります。 アニコムどうぶつ白書2013より 1. 1用語 本題に入る前にまぎわらしい用語について解説します。 各用語は非常に似ていますが、違いを知っておくとよりスムーズに理解するための手助けになるでしょう。 結晶:ここでは結石になる前に小さい粒子を結晶とします。 基本的には肉眼で見えませんが、猫トイレの中でキラキラと光ることがあります。 尿検査(尿沈渣)で発見された場合は結晶を示しているでしょう。 結石:ここでは結晶が凝集し、肉眼でも見られるサイズまで大きくなったものを結石と呼びます。 レントゲン検査やエコー検査で見つかった場合は結石のことを示しているでしょう。 尿道詮子:主な成分はたんぱく質であることから結石とは区別されます。 ペニスの先っぽに形成され、栓をしてしまい尿がだせなくなります。 尿路結石があると膀胱炎、尿道炎により炎症細胞や上皮細胞が大量にでることで尿道詮子が形成されやすくなります。 尿路:文字通り「尿の路(みち)」、尿が作られる腎臓から、尿の出口「外尿道口(がいにょうどうこう)」まで全体を示します。 特に膀胱から外尿道口までを下部尿路と呼びます。 尿管:腎臓と膀胱を結ぶ管(くだ)です。 左右2つあるので、片方の尿管に石が詰まっても症状がでないことがあります。 人間の尿管結石は3大激痛(痛みが強い病気Top3)に挙げられることがありますが、猫では全く痛みを示さず、健康診断で偶然見つかることが多いです。 尿道:膀胱から出口までを結ぶ管です。 尿道は1本だけなので詰まると、必ず症状がでます。 メス猫は尿道が太いので結石がここに詰まることは非常に稀です。 膀胱:尿を溜める袋です。 ほとんどの尿路結石は膀胱で形成されます。 FLUTD:猫の下部尿路疾患(Feline Lower Urinary Tract Disease)の略です。 FLUTDは特定の病名ではなく総称です。 尿路結石だけでなく細菌性膀胱炎、特発性膀胱、膀胱腫瘍など下部尿路の病気全般を示します。 2結石の種類 ・ストルバイト:結石の種類で、リン酸マグネシウムアンモニウムとも呼びます。 鉱物学に詳しかった外交官の名前から命名されたようです。 猫の尿路結石で最も多いのがこのストルバイトです。 ストルバイトは一般的に食事療法で溶けます。 尿pHが高い(アルカリ性)のときに形成されやすくなります。 ・シュウ酸カルシウム:猫の尿路結石で2番目に多い結石です。 結石の発生割合は地域によって変化するので、シュウ酸カルシウムが最も多い地域もあります。 シュウ酸カルシウムは一度形成されると食事療法でも溶けないとされています。 ・尿酸塩:猫の尿路結成の5%前後を占める、比較的稀な結石です。 痛風の原因になる尿酸(プリン体)と同じ成分です。 ・その他:シスチン、キサンチン、シリカ、リン酸カルシウム(ブルシャイト)、ピロリン酸塩、血液結石など。 2 おまけ 猫の結石の割合の推移 1981年の調査では尿路結石の9割近くをストラバイトが占めていました。 その後キャットフードの改良によりストルバイトの割合が減り、シュウ酸カルシウムが最も多くなります。 しかし2007年には再度逆転します。 現在ではほぼ半々の割合になっています。 これは2つの要因が関係しています。 1つはストルバイト用の療法食が普及し、ストルバイトが内科で治療できるようになり手術で取り除く頻度が激減したことです。 調査するには結石を手術で取り出さなければいけませんので、実際の発生率は変わらなくても研究所に送られるストルバイトの数は減少します。 2つめはストルバイト用の食事がシュウ酸カルシウムの発生率を高めていた可能性があります。 ストルバイト療法食の特徴として尿pHを下げる働きが、シュウ酸カルシウムの形成を助けていたと考えられます。 日本国内の報告ではストルバイト40. 6%、シュウ酸カルシウム42. 8%、その他16. (Felis vol. 4) 2. 検査 尿沈渣検査:採取した尿を顕微鏡で観察します。 尿中に結晶が形成されいてると、この検査でみつかります。 また結晶の形からどの種類の結晶か推定することができます。 尿の採取から検査まで時間が経つと、結晶が形成されることがあるので注意が必要です。 尿性状検査:尿の色、尿比重、尿ph ペーハー 、尿糖、尿タンパクなどを調べます。 結石の種類の項でも触れたように、尿pHが高いとストルバイトが形成されやすいことが知られています。 画像検査:レントゲン検査、または超音波検査を行います。 結石が形成されている場合、この検査でみつかります。 画像検査では結石の種類までは特定できません。 レントゲン画像:膀胱に7個の結石が見えます 尿培養検査:尿路結石のリスク因子の1つに細菌感染があります。 そのため尿検査と同時に培養検査を行うこともあります。 培養検査とは文字通り細菌を培養し、どんな細菌がいるのか、またどの抗生物質が効果があるのかを調べることができます。 治療 尿路結石の治療は食事療法がメインになります。 結石の大きさ・種類、猫の状態、療法食への反応をみて内服薬や外科治療を検討します。 1尿路結石用処方食 基本的な特徴として低マグネシウム、低リン、尿pH調整、そして利尿を促すような工夫がされています。 療法食で治療中は、他のフード、おやつ、牛乳などを与えないように注意しましょう。 給与に際しては、必ず獣医師の指示に従ってください。 ストルバイト:食事療法により平均4〜6週間で溶けると報告されていますが、それ以上かかる猫もいます。 ストルバイト結石と診断されたに関わらず、結石のサイズが小さくならない場合は混合型(他の成分が混ざっている)結石の可能性があります。 シュウ酸カルシウム:結石が形成されると基本的には食事療法では溶けません。 1 療法食の違い 昨今では1つの会社からも沢山の種類の療法食が発売されています。 選択肢が多くなったいっぽうで、「違いがわからない」という声も多く寄せられます。 代表的なロイヤルカナンとヒルズに絞って療法食の違いを解説します。 維持食ではないので治療後(結石が溶けた後)は他のフードへ変更しましょう。 治療後も主食として継続的に与えても大丈夫です。 つまり治療食、維持食としても与えられます。 肥満は尿路結石のリスクを高めます。 再発を予防しながらダイエットを行い、リスクを下げることが目的です。 ストルバイト、シュウ酸カルシウムともに効果があります。 コンフォートは英単語の「comfot」=「心地よい」から。 特発性膀胱炎とは結石、細菌感染がないにもかかわらず膀胱炎の症状(血尿、頻尿など)が起こる原因不明の膀胱炎です。 特発性膀胱炎はストレスが原因の1つではないかと考えれています。 ロイヤルカナン ラインナップはpHコントロール0、pHコントロール1、pHコントロール2、pHコントロールライト、pHコントロールオルファクトリーの5種類です。 pHコントロール0:ロイヤルカナンのラインナップの中で最も結石の溶解に重点を置いているフードです。 現在では改良により維持食として使っても問題なくなりました。 コンセプトとしてはよりストルバイトに対する効果に重点を置いて作られましたが、現在では改良によりシュウ酸カルシウムに対しても使用できるようになりました。 コンセプトとしてはよりシュウ酸カルシウムに対する効果に重点を置いて作られましたが、現在では改良によりストルバイトに対しても使用できるようになりました。 pHコントロールライト:尿路結石と肥満を併発している猫用のフードです。 肥満は尿路結石のリスクを高めます。 再発を予防しながらダイエットを行い、リスクを下げることが目的です。 ストルバイト、シュウ酸カルシウムともに効果があります。 pHコントロールオルファクトリー:より猫の食欲を刺激し、今までの療法食を食べない猫にも食べてもらう目的で開発されたフードです。 オルファクトリーは英単語の「olfactory」=「嗅覚の」からです。 猫の食欲をそそる香りがします。 ストルバイト、シュウ酸カルシウムともに使えます。 効果はpH0とpH1、pH2の中間に当たります。 pHコントロール+CLT:特発性膀胱炎の治療を目的に開発されたフードです。 pHコントロールに加水分解ミルク蛋白(加水分解アルファS1トリプシンカゼイン)とL-トリプトファンを配合しています。 マルチファンクションシリーズ。 pHコントロール+満腹感サポート:ロイヤルカナンのダイエット食、満腹感サポートと尿路結石食を両立したものです。 食物繊維が増量されており食べ応えがあります。 マルチファンクショシリーズ。 2社を比較できないので異なる評価記号を使いました。 治療食:症状の改善、結石の溶解を目的に使う食事。 維持食=症状の改善後、再発予防として使う食事。 (治療効果の優劣がなくなり、嗜好性も改善差がなくなったため項目を削除しました) 個人的にphコントロールという名称は、必要以上にpHが重要な印象を与える(尿pHが高いだけで心配される飼い主さんが多かった)のでリニューアルしてよかったと思います。 どのフードにするかは猫の好みで決まることが多いです。 理論的にはphコントロール1と2はそれぞれのコンセプトが異なりますが、改良を重ねた結果両方の結石に効くようになったのでほぼ同じ効果にと考えて大丈夫です。 ストルバイトでもpH2の味が好きな猫であればpH2を選択して問題ありません。 2 療法食ではない「尿路結石に配慮したフード」について 既に尿路結石にかかり、治療または繰り返し再発する猫の予防を目的とした場合は療法食を処方します。 具体的にはロイヤルカナン、ヒルズサイエンス、アニモンダ、国産ではJPスタイルなどです。 キャットフードを探していると大半のフードに「尿路結石ケア」「FLUTDケア」などの記載がみられます。 ではこれらのフードはなんなのでしょうか。 ラベルを確認してみてください。 「総合栄養食」と書いてあればそれは療法食ではありません。 あくまで尿路結石に配慮した総合栄養食であり、療法食と同様の効果は期待できません。 ウェットフードは水分含有率が高く、水分摂取量が増え尿が希釈され結石が作りにくい環境になります。 結石の溶解は難しいですが、再発予防として処方食を食べない猫には効果的です。 2 膀胱炎に対する治療 痛み止め:排尿時の痛みがあると、猫がトイレに行きたがらなくなります。 膀胱内に尿が貯留している時間が長くなりますます尿路結石の形成を助けてしまいます。 鎮痙攣剤:結石による詰まりを解除しても、炎症により膀胱の筋肉が痙攣して自分で尿を出せないことがあり、それを抑える目的で処方されます。 具体的にはプロゾシン(ミニプレス)などです。 抗生物質:もし尿路結石と細菌感染が併発している場合は抗生物質による治療が必要になります。 細菌が尿のpHを変化させ、結石が形成されやすい環境を作り出します。 抗生物質の投与は数週間必要です。 途中で投薬をストップすると耐性菌ができる原因になるので、調子が良くても休薬しないでください。 3外科的治療 「結石が尿管につまって、カテーテルで除去できない」、「石が溶けない」または「再発を繰り返し、生活の質を著しく下げている」場合は外科手術の適応なります。 尿路結石摘出術:問題を起こしている石を取り除きます。 会陰尿道造瘻術(えいんにょうどうぞうろうじゅつ):雄猫の尿道の細い部分を切除する手術です。 再度結石ができても尿道に詰まることを防ぐ手術です。 ペニスも同時に切除するので「女の子になる手術」などと説明されることもあるでしょう。 手術の際には手術の必要性、合併症を主治医とよく相談してください。 4 予後 予後とは今後の病状についての見通しで、進行具合を示します。 一般的に尿路結石の予後は良好ですが、排尿ができなくなり尿毒症に陥ると命を落とすこともあります。 血尿、繰り返トイレにいく、一回の尿量が少ない(猫砂の塊が小さい)などの膀胱炎症状がみられたら早めに動物病院で相談しましょう。 また再発率が高い病気ですので、治療後も定期的なチェックと、食事療法を継続しましょう。 愛猫が好きなフードを選び、無理なく続けましょう。 1再発予防 尿路結石のリスク因子として、肥満と運動不足があります。 ダイエットも兼ねて運動させましょう。 具体的には家の中で高低差を作る、おもちゃで遊ぶなどです。 またトイレが汚いと尿を我慢してしまうので、常に清潔なトイレ環境を維持しましょう。 その他には飲水量を増やす工夫をしましょう(詳しくは)。 その他 よくある質問 ヒルズとロイヤルカナンどちらがいいですか? 猫の味の好みと体質によります。 どちらも優れたフードですが、ある猫はヒルズだと再発する、他の猫はロイヤルカナンだと再発することがあります。 猫とフードの相性があるように思います。 まずは美味しそうに食べた方を与え、症状が改善しない場合は他のフードを検討しましょう。 健康診断で結晶が見つかりましたが、全くの健康です。 どうしたらいいですか? 正常でも尿中に少量の結晶が含まれる猫がいます。 基本的に症状がない場合は治療対象ではありませんので大丈夫です。 ただし結晶が作られやすい体質ではあるので、療法食まではいかなくても下部尿路に配慮したフードを選ぶとより安心でしょう。 長文で大変失礼致します。 いつもネコペディアを拝見しております。 2歳(日本猫)と4歳(アメショ)がいます。 アメショにたくさんのアレルギーがあり、米類、コーン、麦などが入っている療法食は食べられません。 三ヶ月ほど前ですが、病院の検査で2匹ともpHが「7. 5」、少量のストルバイトが見られました。 その後pHは自宅でマメにチェックしており、だいたい「6後半〜7前半」くらい。 病院に持ち込み検査をお願いすると、pHはやはり「7. 0-7. 5」、比重は正常の範囲で高め、ストルバイトは時折見られます。 アレルギーのためフード選びが難しく、最近はブルーバッファローのWUとハッピーキャットのグレインフリーを6:4くらいにし、水分補給のためにササミやマグロの缶詰(1日1匹25gくらい)にお湯を加えてスープて与えていますが、大きな改善は見られません。 小さい頃吐きやすかったので食事回数は4回でしたが、pH値が高いと分かってから3回に変更しました。 しかし、2回の方が空腹時間が長いのでストルバイトが出にくいという記事をよく見かけます。 実際、2回の方が良いのでしょうか? 5歳のオスです。 4月下旬に尿が出にくくなり、ストルバイト結晶の診断を受け療法食をはじめました。 最初は食べてくれたのですが、お腹に合わないためか酷い軟便が続き、何度も吐くようになり、体重がかなり減ってしまいました。 主治医に相談の上、以前食べていたニュートロに戻しウロアクトをあげ始めました。 元のフードに戻してからは便も問題なく、吐くこともなくなりました。 だた、このフードがMg値が0. 15%とほかの一般のフードよりも高いためか(以前、気になってメーカーに問い合わせたところ、他のミネラルとのバランスがとれているので問題はないと回答頂きました)一時は療法食で下がっていたPHが7. 5~8. 0へ上がってしまい、膀胱にまた砂もたまり始めてしまいました。 何度も吐いてしまって以来、療法食は全く食べてくれず(数種類試しました)、他のMg値の低めのドライフードやウエットフードを色々試したのですがどれもダメ。 主治医からはいろいろと工夫をしてみるよう言われたのですが、工夫もつきてしまいました。 本猫は元気でゴハン待ちをしていますが、自分が今まで食べていたフードしか食べそうもありません。 このような場合、どうしたらいいのでしょうか・・・。 キャットフードに悩んで携帯いじっていたら、こちらへ、たどり着いて是非伺いたくここへ書き込みさせていただきます。 是非、ご意見伺いたいと思います。 先日、我が家の猫に結石が見つかり、今はロイヤルカナンのphコントロール1?を病院で処方されて食べ始めました。 完治しても再発率が高いのでその後も処方食を続けた方がいいと言われました。 もちろんそれが最善ならそうするつもりなのですが、ロイヤルカナンは発がん性物質が規定内とはいえ入ってることが私はとても気になります。 でも結石を繰り返すのも、防ぎたいのですが。 ロイヤルカナンの物質に問題ないのなら素直にロイヤルカナンを与えるのですが、できる限り与えたくない物質だなと。 神経質になりすぎなのかもしれませんが、是非アドバイスお聞かせ頂けたら幸いです はじめまして。 2歳5ヶ月の雑種の男の子ですが、 去年の夏にストルバイトが見つかり獣医師の勧めで ロイヤルカナンのphコントロールライトに変更しました。 今年1月ごろから血便になり病院で治療を開始し、 直っては再発の繰り返しで5月まで治療を続けその後様子見になり 現在いに至ります。 今でも血便はあります。 その病院のもう一人の獣医師から、 食物アレルギーが出る始めるのが1歳半ごろから。 その様に言われたのですが、 ロイヤルカナンは穀物が多く穀物フリーの食事に 切り替えようかと悩んでいます。 切り替える際、(食物アレルギーと決まったわけではないですが) ストルバイトやシュウ酸カルシウム結石と穀物フリー、 どちらを優先させたら良いのかわかりません。 ストルバイトも血便も、気になっています。 良きアドバイスをおねがいいたします。 外国人としては専門的な言葉を理解するのが少し難しかったんだけど、色んな種類の療法食事がありましてそれぞれの違いが非常にわかりやすい説明を読ませて頂いてありがとうございました。 うちの猫が2カ月前に膀胱炎になってロイヤルカニンのPHコントロール 0 で結晶なくなって治りましたけど、最近また膀胱炎の症状現れた。 今回は原因がストレスなので対処できる食事をあげたいんですがこの記事で説明されたロイヤルカニンPHコントロール+CLTて言うのが残念ながら販売するところを見つけれないです。 もし販売店がどこにあるかわかれば教えて頂きたいと思います。 どうもありがとうございました。 ありがとうございます。 とても参考にさせて頂いています。 3 歳の雄です。 医師からはCLT を勧められていますが、その後再発はないし元々水を良く飲む子なのでこのまま療法食だと腎臓病になるのではと心配しています。 今の比重は1. 030です。 こういう場合、どういうフードが良いのでしょうか? 診察して頂いてないので判断しづらいと思いますが、参考までにお聞かせください。 具体的なフード名も教えていただけるとありがたいです。 申し訳ありませんが宜しくお願い致します。 17歳の日本猫(6キロ位雄猫)と 15歳のスコティシュ(4キロ位雄猫)を飼っています。 スコティッシュは購入時1歳位だったと思いますが 普通のカリカリを与えていたら数か月で尿管結石で1週間入院し 日本猫も一度尿管結石で通院しました。 他には最近亡くなった20歳の日本猫を飼っておりました。 スコティッシュの退院後、病院で薦められた 「ロイヤルカナンphコントロール2フィッシュ」を 全ての猫に今まで毎日与えておりますが 元々お腹が緩い日本猫が最近状態が酷くなったので 病院で診て貰ったら膵炎のパッチテストで反応が出て 白血球も異常に増加していました。 相変わらず少し緩いですが、以前ほど酷くなく 喰いつきも変わらないので暫くはこちらを与えて 様子を見て再検査してみましょうとのことでした。 20歳の猫は特に病気も無く結石とは無縁で 最後は医師に老衰と言われ穏やかに眠る様に亡くなりました。 1歳の雌猫が突然ねっとりした塊のあるひどい血尿になりました。 餌はロイヤルカナンのキトンからJPスタイルの成猫用に切り替えて食べさせていました。 あまりにもひどい血尿なので原因を考えても確固たるものは思いあたりません。 血管を強くする薬と療法食のオルファクトリーで血尿は止まりましたが、蛋白も出ているということで腎臓食に切り替えホルテコリーが追加で処方されました。 1週間後の尿検査で蛋白が正常になった為、成長期であることを考慮して再びオルファクトリーに戻りました。 猫の飼育歴は長いのですがこのようなことは初めてです。 現在、4匹飼っていますがJPスタイルを食べさせているのは血尿になった1匹だけであとの3匹は肥満になってしまうのでロイヤルカナンの満腹サポートです。 餌のことが気になって検索したらこちらに辿りつきました。 カテーテルの留置を行うか否かは、再発の危険性、膀胱炎・尿道炎の程度、猫の全身状態、猫の性格などから総合的に判断します。 カテーテル留置のメリット ・尿路の確保、再閉塞の予防 ・膀胱を休ませる ・膀胱洗浄が容易 ・尿量が正確に計れる デメリット ・不快感 ・感染症のリスク増 ・入院管理が必要 具体的には カテーテル導入が困難だった場合、再閉塞のリスクが高い場合、膀胱尿道粘膜のダメージが大きい場合、膀胱が弛緩している場合などは留置します。 上にも書きましたが、結石による物理的な閉塞を解除しても、閉塞時間が長かったり膀胱炎が重度だと筋肉が痙攣して自分で排尿できないことがあります。 再閉塞とカテーテルによる解除を繰り返していると尿道が腫れ、余計詰まりやすくなるのと尿道炎が悪化します。 カテーテルを通す処置は猫にとって好ましくありません。 猫の気性によっては鎮静が必要になります。 再発時の度重なる鎮静を避けるため、カテーテルを留置することもあります。 アメリカでも同様で、ケースにより獣医師が判断します。 留置の有無に絞った研究は私が調べた限り見つかりませんでした。 カテゴリー• 33 人気記事• 現在2020年のゴールデンウィークですが、新型コロナウィル... 犬がキシリトールを摂取すると低血糖や肝臓障害を起こし大変危険です、一方猫が食べたらどうなるか?これについて... 日本での猫エイズウィルス、猫白血病ウィルスの感染率はそれぞれ10%前後です。 猫エイズウィルスは進行すると免... 猫のダイエットに関してはこちら 画像は世界2位のデブ猫 デンマークのTubcatちゃん20kgで... 日頃は大人しい猫でも爪切りだけは異様に嫌がることがあります。 当院でも爪切りだけで定期的に来院される方が...
次の犬の飼い方と病気:尿石症とその診断 all words by Dr. それらの器官には、腎臓(尿をつくるところ)、尿管(腎臓でつくられた尿を膀胱に送る管)、膀胱(尿を溜めるところ)、尿道(膀胱に溜まった尿を外に出す管)があります。 通常、尿石症は慢性病ですから、克服するまでに長い時間がかかります。 泌尿器のなかでも、結石ができやすい器官は、膀胱と尿道です。 これらの器官に結石ができた状態を、それぞれ「膀胱結石」「尿道結石」といいます。 一般に、結石ができていても、いつも明らかな症状が表れるわけではなく、徐々に進行します。 私たち獣医師がほかの病気を検査しているとき、偶然に見つかることもよくあります。 そういう場合でも、飼い主によく聞くと「どことなく元気がない」とか「水を飲む量が増えてきた」という症状には気づいていたということがしばしばあります。 しかし、通常はそれだけの症状で、病院へ連れてくる飼い主はあまりいません。 そのため、獣医師が診断するときは、かなり進行しているケースが多いようです。 尿石症のなかで最も多い膀胱結石は、通常、頻尿(尿の回数が多くなる)、排尿困難(尿が出にくくなる)、しぶり(踏ん張って尿をしようとする)、血尿(尿に血が混じる)などの症状を示します。 特にオス犬では、「尿路閉塞」といって尿の通り道が塞がることがよくあります。 この状態になると、尿が出なくなるので、膀胱が大きくなり、お腹が膨れて、犬は苦しそうにします。 尿が出ないと大変ですから、緊急の処置が必要になります。 一口に結石といっても、その成分にはいろいろあります。 結石全体の約75%を占めるのは、「ストラバイト結石」で、「リン酸アンモニウムマグネシウム」を成分としています。 ほかに結石の成分としては、シスチン、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、尿酸アンモニウムなどがあります。 後ほど述べますが、尿石症の重要な治療法のひとつは、薬で結石を溶解する内科療法です。 したがって、使用する薬を決めるために、結石の成分を調べることが不可欠となります。 尿石症が疑われる場合、獣医師は通常、尿の分析と直腸検査、すなわち直腸から指を入れて、尿道の触診を行います。 オスの場合、そのようにすれば、ある程度尿道にさわることができますので、石があれば発見することができます。 メスの場合、尿道は子宮の下にあるので、上からさわっただけではわかりにくいこともありますが、一応はやはり尿道の触診を行います。 次に、X線や超音波検査へと進みます。 結石の診断方法として、最も一般的なのはX線検査です。 この検査によって、結石ができている場所、結石の数、大きさ、密度、性状を調べます。 しかし、X線が通過してしまい、うまく撮影できない石もあります。 たとえば、尿酸アンモニウム結石にはそのような性質があります。 したがって、X線検査で石が見えなくても、結石がないと判断できないケースもありますが、最近では、超音波検査によって、X線検査で検出できない結石も発見できるようになりました。 しかし、X線検査でも、「膀胱二重造影」と呼ばれるテクニックによって、撮影が可能となります。 これは、膀胱内に空気や造影剤を混ぜたものを送り込んで、結石を浮き出させる方法です。 膀胱二重造影の方法を用いても、結石と血のかたまりを鑑別することが難しいことがあります。 この場合は、やはり超音波検査を行えば、比較的簡単に両者を区別することができますから、この検査は強力な武器になります。 一般に尿石症を起こしやすい犬種は、ミニチュア・シュナウザー、ラサ・アプソ、ヨークシャー・テリア、ペキニーズ、パグなどです。 また、犬の尿石症は、犬種によって、結石の種類に偏りが見られるのが特徴です(もちろん、この犬種にできるのはどの種類の結石、と断定することはできません)。 たとえば、シスチンの結石は、ダックスフンド、ブルドッグ、ヨーキー、チャウチャウなどに多く見られます。 これらについては、犬種による素因があると考えられています。 性別にも関係があり、シスチンの結石は、ほとんどオスに見られるようです。 結石自体は一般にメスに多いのですが、特にストラバイト結石はメスよく見られます。 これに対して、尿酸アンモニウム結石は、オスに多く見られるようです。 また、年齢にも関係があります。 ストラバイト結石は、未成熟な犬によく見られ、シスチン、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムなどを成分とする結石は、成熟した犬に多く見られます。 尿石症が診断されても、外科手術によってただちに結石を取り出せばよいというものではありませんが、一般に以下のようなケースでは外科手術が適用されます。 ・結石のため尿路閉塞があり、外科手術以外の処置方法がない。 ・尿路感染(後ほど説明)を併発している。 ・内科療法を行っても改善しない。 ・内科療法を行っているのに、結石の数が増えたり、サイズが大きくなっている。 ・腎臓の結石があったり、腎機能障害があり、内科療法では時間がかかりすぎ、危険である。 ・泌尿器系に尿石症を引き起こす原因となる解剖学的な異常があり、外科手術によって修復が見込まれる。 ・飼い主が長期間を要する内科療法に耐えられない。 内科療法の目的は、結石の成長をとめ、溶解することです。 結石を解かす治療を行っているときは、尿のpHや結石の結晶を調べたり、X線検査、超音波検査などを定期的に行い、治療効果をモニターする必要があります。 結石を解かす治療を行うとき、ほとんどが尿路感染症を起こしているので、抗生物質が必要となります。 感染症を起こしていれば、まずそのコントロールが必要です。 尿を酸性化する薬を与える方法もあります。 尿を酸性にすると、結石ができにくなります。 尿の量が多ければ、結石成分が結晶化しにくくなります。 尿の量を増やす最も手軽な方法は、少量の食塩を与えることです。 そうすると、犬は喉が渇くので、水をたくさん飲みます。 つまり、尿の元をたくさん飲むわけですから、尿の量は増え、結石を洗い流したり、石をできにくくする作用が期待できます。 ただし、この方法は以前はよく行われましたが、最近はよい薬があるので、あまり使われることはありません。 もし食塩を与える場合、量的には食事100グラムに対して、0. 2グラムが目安です。 ただし、腎臓などに障害がある犬には、食塩は悪い作用を与えますから、この方法を避けなければなりません。 したがって、食塩を与える場合は、あらかじめ動物病院での検査が必要となり、獣医師の指示に従うことが大切です。 最近では、尿のpHを変える特別食によって、結石を予防しようとする食事療法も行われています。 この食事療法は、すべての結石に使用できるわけではありませんが、とても有効な方法です。 この方法のすぐれた点のひとつは、外科療法の欠点を補えることです。 たとえば、膀胱に大きな結石があり、手術によってその石を取り出しても、犬の体質によっては、半年〜1年後に再び結石ができることがあります。 そうすると、何度も手術を繰り返さなければなりません。 このような場合、食事療法によって結石ができる機会をある程度少なくすることもできます。 そうすれば、手術をする回数を少しでも減らすことが可能になります。 尿路感染症は最も一般的な細菌感染症のひとつで、細菌が尿路に侵入し、繁殖することによって起こります。 この病気は、症状がはっきり表れないこともあるので、注意が必要です。 感染症の原因となるものとしては、細菌のほかに、ウィルスや真菌(カビ)がありますが、ウィルス性や真菌性の尿路感染は非常にまれです。 尿路感染を起こしやすい場所は、腎盂(腎臓の一部で、つくられた尿を集めて尿管へ送る袋状の部分)、尿管、膀胱、尿道、前立腺などであり、それらの場所に起こった感染をそれぞれ「腎盂炎」「尿管炎」「膀胱炎「尿道炎」「前立腺炎」と呼びますが、これらはすべて「尿路感染症」と総称されます.。 通常、正常な排尿をしていれば、尿路感染は起こりません。 排尿の回数が正常で、尿路のなかの尿がすべて外に出されれば、細菌は洗い流されるからです。 膀胱に多くの細菌を入れても、正常な排尿があれば、感染は99. 9%起こらないという実験結果もあります。 尿路感染が起こるのは、排尿の回数が不足していたり、尿が尿路に残る場合などです。 たとえば、脊髄の病気のため神経が冒されて膀胱マヒが起こっている場合、尿が排泄されず、感染が起こることがあります。 尿路感染症は、再発しやすい病気です。 治療には、十分な量の抗生物質を長期間にわたって投与する必要があります。 投与量が不足したり、投与期間が短かった場合は、細菌を完全に駆逐できないので、すぐに再発します。 投与間隔が不適切な場合も、再発します。 この病気の治療には、ふたつのポイントがあります。 まず、感染の原因を突き止めることです。 結石が感染症の原因になることがありますが、原因が結石であることがわかれば、結石の治療をします。 腫瘍、憩室(組織の一部が伸びて、部屋のような形になった部分)、ポリープも感染症の原因になります。 原因がわかれば、その治療が必要になります。 次のポイントは、抗生物質療法を正しく合理的に行うことです。 抗生物質による治療期間は、初めての発症の場合、最低でも2〜3週間以上の投与が必要です。 慢性化している場合や再発性の場合は、最低1〜2カ月以上、投与します。 重症の場合は、少なくとも6週間以上の投与が必要です。 これらの投与期間については、獣医師の指示をよく守ることが大切です。 尿路感染症の治療効果を、症状で判定することはなかなか難しいこともあります。 たとえば、頻尿がなくなったり、血尿が見られなくなったとしても、それらは必ずしも感染症が治ったことの証拠にはなりません。 飼い主が、これまでの症状がなくなったからといって、感染症が治ったと判断し、抗生物質の投与をやめるのは危険です。 治療効果の判定は、尿の分析によって行うことが重要です。 すなわち、尿を顕微鏡で調べたり、培養したりして、細菌の有無を調べる方法です。 完全に治ったことがわかり、治療が終わっても、再発率の高い病気ですので、予防法を獣医師とよく相談し、再発を防ぐ努力をすることが大切です。 具体的には、いつでも新鮮な水を飲める状態にしておくこと、排尿しやすい環境にしておくことなどが基本となります。
次の