サイン バルタ カプセル 20mg。 サインバルタカプセル20mgの基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)|日経メディカル処方薬事典

サインバルタカプセル20mgの効果・用法・副作用

サイン バルタ カプセル 20mg

サインバルタカプセル(一般名:デュロキセチン)は、2010年から発売されている抗うつ剤で、SNRIという種類の抗うつ剤になります。 SNRIは「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」の事で、主にセロトニンとノルアドレナリンという物質を増やす事で抗うつ作用を発揮するお薬です。 少し前まではSSRIと呼ばれるセロトニンを増やすお薬がうつ病治療の主役でしたが、近年ではサインバルタのようにセロトニンのみならずノルアドレナリンも増やすSNRIも多く用いられるようになってきました。 サインバルタは、どのような特徴を持っていて、どのような方に向いている抗うつ剤なのでしょうか。 ここではサインバルタの効果や特徴について紹介していきます。 1.サインバルタの特徴 まずはサインバルタの全体的な特徴をかんたんに紹介します。 抗うつ作用は強め• 「意欲」や「やる気」を改善させる効果に優れる• 副作用は全体的には少なめだが、投与初期の消化器症状(胃部不快感、吐き気)は多め• 神経性の痛みを抑える作用がある 効果が強いわりには副作用も少なく、SSRIが苦手としていた「意欲」へ効果を示す点が、サインバルタの特徴です。 そのため意欲低下が主体のうつ病の患者さんやSSRIで意欲が今ひとつ改善しない患者さんに処方される抗うつ剤になります。 またサインバルタのようなSNRIは「痛み」に対して効果があるというのも大きなポイントです。 このような機序からサインバルタは近年では神経痛の治療薬として整形外科領域でも多く処方されるようになっています。 うつ病でも、うつ病患者さんの約6割は何らかの痛みを認めているという報告があります(「」参照)。 痛みの程度が強いほどうつ病の治りも遅くなるという報告もあり、神経性の痛みを抑える作用に優れる点は、サインバルタの利点の1つと言えるでしょう。 デメリットとしては「カプセル剤」であるため、細かい用量調整が出来ないことが挙げられます。 これは特に減薬していく時に問題となる事があります。 抗うつ剤は少しずつ減薬していく事が基本です。 少しずつ少しずつ減らす事で離脱症状を起こしにくくなり、安全に減薬できるためです。 しかしサインバルタはカプセル剤であるため、錠剤のように半分に割ったりという用量調整が出来ません。 大きなデメリットではありませんが、細かい用量調整が出来ないことはサインバルタの多少のデメリットになります。 またサインバルタをはじめとしたSNRIはセロトニンのみならずノルアドレナリンというアドレナリン系の物質を増やすため、意欲が改善するという作用が見込める一方で、ノルアドレナリンによる副作用が認められる可能性もあります。 具体的には、• 血圧上昇• 排尿障害・尿閉(尿が出にくくなる) などの副作用の可能性はSSRIよりも多めになります。 2.サインバルタの作用機序 サインバルタはどのような機序によってうつ病や神経痛など改善させてくれるのでしょうか。 サインバルタは、SNRIと呼ばれるタイプの抗うつ剤です。 SNRIとは「Serotonin Noradrenaline Reuptake Inhibitor」の略で、「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」という意味です。 難しい名前ですが、簡単に言うと、 セロトニンとノルアドレナリンを増やすお薬 だと考えて頂いて構いません。 抗うつ剤にはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)というお薬もありますが、これは主にセロトニンだけ増やします。 それに対してSNRIはセロトニンだけでなくノルアドレナリンも増やしてくれるのが特徴です。 セロトニンもノルアドレナリンも神経伝達物質の1つです。 神経伝達物質というのは、神経から神経に情報を伝える役割を持っている物質です。 神経と神経の間を神経間隙(しんけいかんげき)と言いますが、神経伝達物質はこの神経間隙に分泌される事で、他の神経に情報を伝えていきます。 神経伝達物質がうまく分泌されなくなると、正しい情報が伝わらなくなるため、心身ともに様々な不調が生じます。 セロトニンもノルアドレナリンは脳内においては神経伝達物質の中でも「気分」「感情」の情報を伝える神経伝達物質になります。 セロトニンやノルアドレナリンのような気分に関係する物質を「モノアミン」と呼びます。 代表的なモノアミンにはセロトニン・ノルアドレナリンの他にドーパミンがあり、それぞれのはたらきをかんたんに説明すると、• セロトニンは気分の落ち込みや不安を改善させる• ノルアドレナリンは意欲や気力を改善させる• ドーパミンは快楽や楽しみを改善させる と考えられています。 またセロトニンもノルアドレナリンも痛みの神経の神経伝達物質としての役割もあるため、痛みにも関係している事が分かっています。 このセロトニンやノルアドレナリンの分泌量がおかしくなってしまう事がうつ病や神経痛発症の一因だと考えられています。 サインバルタをはじめとしたSNRIは、神経間隙に分泌されたセロトニン・ノルアドレナリンが再取り込み(吸収)されないようにはたらきます。 すると神経間隙に長くセロトニン・ノルアドレナリンが留まる事になるため、神経間隙のセロトニン・ノルアドレナリン濃度が上がり、情報の伝達がスムーズになるのです。 またSNRIは「前頭葉のドーパミンを増やす」という報告もあります。 ドーパミンは快楽や楽しみに関係している物質であり、これも気力改善に役立っているのではと推測されています。 ちなみにSNRIにはサインバルタ以外にも何種類かあり、• (一般名:ミルナシプラン)• (一般名:ベンラファキシン) があります。 これらSNRIのそれぞれの特徴と、これらの中でのサインバルタはどのように位置付けになるでしょうか。 トレドミンは「副作用もあまりないけど、効果もあまりない」という評価であり、いまひとつ普及しなかった抗うつ剤です。 海外ではトレドミンは神経痛には適応はあるけども、効果が弱いためうつ病には適応がない国もあるほどです。 トレドミンと比べると、サインバルタの抗うつ作用は強い印象があります。 トレドミンとサインバルタは同じSNRIには分類されてはいますが、セロトニン・ノルアドレナリンの再取り込み比率や効力が違うため、効果もだいぶ異なっているのです。 セロトニン再取込阻害 ノルアドレナリン再取込阻害 サインバルタ 4. 6 16 トレドミン 203 100 この数値はki値というもので、低いほど作用が強いことを表しています。 同じSNRIでも、サインバルタとトレドミンは大分プロファイルが違うことが分かるでしょう。 ただしサインバルタは低用量(40mg)ではセロトニンを優位に増やしますが、60mgまで上げるとノルアドレナリンを増やす比率が増えてくることが知られています。 意欲改善を目的に投与する場合は、ここからは60mgまで上げるべきだと考えられます。 イフェクサーは、サインバルタよりもノルアドレナリンを増やす作用に優れます。 しかしイフェクサーは日本で発売される際の試験で一度「十分な抗うつ作用があるとは言えない」という結果となり、発売出来なかった過去があります。 その後の試験ではようやく有効性が確認でき、2015年に発売される事になりましたが、一度有効性を確認できなかったというエピソードから、もしかしたら私たち日本人には効きが悪い抗うつ剤なのかもしれません。 このような理由から、これらのSNRIの中ももっとも普及しているのはサインバルタになります。 3.サインバルタの適応疾患 サインバルタはどのような疾患に使用されているのでしょうか。 サインバルタの添付文書を読むと、 うつ病、うつ状態 糖尿病性神経障害に伴う疼痛 線維筋痛症に伴う疼痛 慢性腰痛症に伴う疼痛 に適応があると記載があります。 実臨床においてもサインバルタは「うつ病、うつ状態」に使うことが一番多く、また糖尿病性に限らず「痛み(特に心因性)」に対しても使用します。 心因性の疼痛を伴ううつ病の方や、意欲低下が主体のうつ病に使われることが多いお薬です。 セロトニンも増やしてくれるため、パニック障害などの不安障害に使うこともありますが、抗不安作用はSSRIの方が定評があるため、不安障害ではまずSSRIが用いられることが多く、サインバルタなどのSNRIが用いられるのはSSRIの効果が不十分である症例などに限られます。 もちろん、不安障害にサインバルタを投与することもあります。 しかし、例えば不安障害の一種であるパニック障害は脳の青斑核と呼ばれる部位のノルアドレナリン神経の過剰興奮が原因とも言われているため、ノルアドレナリンを増加させるサインバルタを使用する場合は、慎重に考える必要があります。 また、サインバルタはうつ病などに伴う心因性の疼痛にも効果があります。 うつ病では約6割近くの方が何らかの痛みを併発していると言われており、痛みが強いとうつ病の経過にも悪影響があることが分かっています。 痛みがひどく、内科や整形外科で調べてもらっても原因が分からない、という方は心因性疼痛の可能性がありますので、サインバルタが効く可能性があります。 4.サインバルタの強さ サインバルタは抗うつ剤の中ではどのくらい強いのでしょうか。 薬の強さを比較することは難しいのですが、参考になる研究報告の1つであるMANGA studyを紹介します。 この研究は、「抗うつ剤の強さや副作用の多さをランク付けしてみよう!」というものです。 研究結果には賛否両論ありますが「抗うつ剤に順位を付ける」 という前代未聞の試みであったため、大きな反響を呼んだ試験でした。 実はこの試験結果では、サインバルタは散々な結果でした。 「サインバルタは効果も低いし、副作用は多い」という結果になってしまったのです。 この図は、Manga Studyの結果を大まかに図にしたものです。 有効性とは薬の効果で数字が大きいほど効果が高いことを示しており、忍容性とは副作用の少なさで、大きいほど副作用が少ないことを表しています。 フルオキセチン(国内未発売)という抗うつ剤を「1」とした場合の、それぞれの抗うつ剤の比較で、これをみるとレクサプロやリフレックス、ジェイゾロフトなんかは好評価ですが、サインバルタやルボックスは残念な結果になってます・・・。 しかし、この報告はあくまでも参考程度にとどめるべきでしょう。 サインバルタは世界的に見ても処方数の多い抗うつ剤の1つですが、本当にサインバルタにここまで効果がないのであれば、世界でこんなに処方されるはずがありません。 私の印象としては、効果は1. 25、忍容性は1. 05といったところでしょうか。 効果もまずまず強いし、副作用も全体的には少なめです。 5.その他のサインバルタの特徴 ・意欲改善に効果を認める。 ・神経性の疼痛に効果がある。 ことがサインバルタの大きな特徴ですが、その他にも、 ・効果発現が早い。 ・SSRIと比べ、睡眠への悪影響が少ない などの特徴が挙げられます。 一般的に抗うつ剤は、効果発現まで早くて2週間、だいたい1か月はみてくださいと言われますが、サインバルタは実感として、1週間程度で効果は表れはじめます。 抗うつ剤の性能も時代とともに進化しているということなのでしょうか。 またSSRIは時に不眠の原因になることがあります。 これは、SSRIにノンレム睡眠(深部睡眠)を減少させる作用があるからです。 対してSNRIはノンレム睡眠をあまり減少させません。 不眠でつらい方は、そこでSSRIと加えると不眠がさらに悪化する可能性があるため、SNRIを使うといいことがあります。 6.サインバルタが向いている人は? 以上からサインバルタが向いているのはどのような方なのでしょうか。 サインバルタは意欲改善、疼痛緩和に効果が期待できることから、 ・意欲低下が主体、あるいは一番困っている ・内科や整形外科で原因不明と言われた痛みで苦しんでいる 方には良い適応となるのではないでしょうか。 加えて、 ・不眠をなるべく悪化させたくない ・できれば早めに効果が欲しい という方にも勧めやすいお薬です。 反面、イライラや焦燥感が主体となっているうつ病の方への投与は注意です。 症状を悪化させる恐れもありますので、投与は慎重に検討した方がいいでしょう。 内服初期の消化器症状がやや多いため、胃腸が弱い方はこの時期はつらいかもしれません。 何とか乗り切れればいいですが、どうしてもつらい方は別のお薬にすべきでしょう。 7.サインバルタの導入例 サインバルタはどのような使われるのでしょうか。 お薬の使い方は患者さんの症状や重症度によって異なってきますので、詳しい使い方は主治医に聞いて頂きたいのですが、ここでは一般的なサインバルタの使い方について説明します。 サインバルタは20mg1日1回投与から開始し、1週間以上の間隔をあけて20mgずつ増やしていきます。 維持量は40~60mgです。 40mgだとセロトニン優位に作用しますが、60mgまで上げるとノルアドレナリンを増やす率が上がってくることが報告されており、ノルアドレナリンを増やしたい方(意欲低下や痛みが強い方など)は60mgまで上げることが推奨されます。 薬効の発現は他の抗うつ剤より早い印象があり、1週間程度で効果を感じられる方も少なくありません。 内服初期の副作用は、吐き気・胃部不快感といった消化器症状が多く、動悸や焦燥感なども時折出現します。 心配な方はあらかじめ胃薬を併用して胃部症状を抑えますが、消化器症状のほとんどは初期の1~2週間で消失します。 まれにですが賦活症候群といって、内服初期に変に気分が持ち上がってしまうことがあります。 気分に影響する物質が急に体内に入ったことで 一過性に気分のバランスが崩れるために起こると考えられています。 賦活症候群ではイライラしたり攻撃性が高くなったり、ソワソワと落ち着かなくなったりします。 一時的なことがほとんどのため、抗不安薬などを併用して様子を見ることもありますが、自傷行為をしたり他人を攻撃したりと、危険な場合はお薬を中断します。 副作用は、軽ければ様子を見ますが症状に応じて、下剤や整腸剤、昇圧剤などを使って対応することもあります。 あまりに副作用が強すぎる場合は、別の抗うつ剤に切り替えます。 典型的な経過としては、 まずはイライラや不安感といった「落ち着かない感じ」が改善します。 その後に抑うつ気分が改善し、意欲ややる気などは最後に改善すると言われています。 効果を十分感じればその量のお薬を維持しますし、効果は感じるけど不十分である場合は、増量あるいは他のお薬を併用します。 1~2ヶ月みても効果がまったく得られない場合は、別の抗うつ剤に切り替えます。 気分が安定しても、そこから6~12ヶ月はお薬を飲み続けることが推奨されています。 この時期が一番再発しやすい時期だからです。 6~12ヶ月間服薬を続けて、再発徴候がなく気分も安定していることが確認できれば、その後2~3ヶ月かけてゆっくりとお薬を減薬していき、治療終了となります。 サインバルタは減薬時の離脱症状が時々問題となります。 サインバルタは剤型としてカプセルしかないため、錠剤と違い、「半分に割る」などの細かい調整ができず、徐々に減らしていくことが難しいからです。 は別コラムで詳しく書いていますが、医師の指示に従い、より慎重に減薬をしていく必要があります。 【メンタルヘルス向上のヒント】 【こころの病気】 - - - - -恐怖症 -- -- -- -- -- - - - - - - 【こころと身体の病気】 【お薬()】 - - -- -- -- - --超短時間型 --- --短時間型 --- --- --- --- --中時間型 --- --- --- --- --- --- --長時間型 --- --- -メラトニン受容体作動薬 -- -オレキシン受容体拮抗薬 -- -三環系抗うつ剤 -- -- -- -- -- -四環系抗うつ剤 -- -- - -- -- -- -- -- - -- -- -- - -- -- -その他 -- -- -- () - - - - - - - - - - - - - - 抗精神病薬 - -- -- -第2世代抗精神病薬 -- -- -- -- -- -- -- -- -- - - - - - ADHD治療薬 - 抗酒薬 - 漢方薬 - - - - 向精神薬の副作用 - - - 【精神科への受診】 【こころの検査】 【治療法】 【精神疾患と取り巻く制度】.

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サインバルタカプセル(一般名:デュロキセチン)は、2010年から発売されている抗うつ剤で、SNRIという種類の抗うつ剤になります。 SNRIは「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」の事で、主にセロトニンとノルアドレナリンという物質を増やす事で抗うつ作用を発揮するお薬です。 少し前まではSSRIと呼ばれるセロトニンを増やすお薬がうつ病治療の主役でしたが、近年ではサインバルタのようにセロトニンのみならずノルアドレナリンも増やすSNRIも多く用いられるようになってきました。 サインバルタは、どのような特徴を持っていて、どのような方に向いている抗うつ剤なのでしょうか。 ここではサインバルタの効果や特徴について紹介していきます。 1.サインバルタの特徴 まずはサインバルタの全体的な特徴をかんたんに紹介します。 抗うつ作用は強め• 「意欲」や「やる気」を改善させる効果に優れる• 副作用は全体的には少なめだが、投与初期の消化器症状(胃部不快感、吐き気)は多め• 神経性の痛みを抑える作用がある 効果が強いわりには副作用も少なく、SSRIが苦手としていた「意欲」へ効果を示す点が、サインバルタの特徴です。 そのため意欲低下が主体のうつ病の患者さんやSSRIで意欲が今ひとつ改善しない患者さんに処方される抗うつ剤になります。 またサインバルタのようなSNRIは「痛み」に対して効果があるというのも大きなポイントです。 このような機序からサインバルタは近年では神経痛の治療薬として整形外科領域でも多く処方されるようになっています。 うつ病でも、うつ病患者さんの約6割は何らかの痛みを認めているという報告があります(「」参照)。 痛みの程度が強いほどうつ病の治りも遅くなるという報告もあり、神経性の痛みを抑える作用に優れる点は、サインバルタの利点の1つと言えるでしょう。 デメリットとしては「カプセル剤」であるため、細かい用量調整が出来ないことが挙げられます。 これは特に減薬していく時に問題となる事があります。 抗うつ剤は少しずつ減薬していく事が基本です。 少しずつ少しずつ減らす事で離脱症状を起こしにくくなり、安全に減薬できるためです。 しかしサインバルタはカプセル剤であるため、錠剤のように半分に割ったりという用量調整が出来ません。 大きなデメリットではありませんが、細かい用量調整が出来ないことはサインバルタの多少のデメリットになります。 またサインバルタをはじめとしたSNRIはセロトニンのみならずノルアドレナリンというアドレナリン系の物質を増やすため、意欲が改善するという作用が見込める一方で、ノルアドレナリンによる副作用が認められる可能性もあります。 具体的には、• 血圧上昇• 排尿障害・尿閉(尿が出にくくなる) などの副作用の可能性はSSRIよりも多めになります。 2.サインバルタの作用機序 サインバルタはどのような機序によってうつ病や神経痛など改善させてくれるのでしょうか。 サインバルタは、SNRIと呼ばれるタイプの抗うつ剤です。 SNRIとは「Serotonin Noradrenaline Reuptake Inhibitor」の略で、「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」という意味です。 難しい名前ですが、簡単に言うと、 セロトニンとノルアドレナリンを増やすお薬 だと考えて頂いて構いません。 抗うつ剤にはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)というお薬もありますが、これは主にセロトニンだけ増やします。 それに対してSNRIはセロトニンだけでなくノルアドレナリンも増やしてくれるのが特徴です。 セロトニンもノルアドレナリンも神経伝達物質の1つです。 神経伝達物質というのは、神経から神経に情報を伝える役割を持っている物質です。 神経と神経の間を神経間隙(しんけいかんげき)と言いますが、神経伝達物質はこの神経間隙に分泌される事で、他の神経に情報を伝えていきます。 神経伝達物質がうまく分泌されなくなると、正しい情報が伝わらなくなるため、心身ともに様々な不調が生じます。 セロトニンもノルアドレナリンは脳内においては神経伝達物質の中でも「気分」「感情」の情報を伝える神経伝達物質になります。 セロトニンやノルアドレナリンのような気分に関係する物質を「モノアミン」と呼びます。 代表的なモノアミンにはセロトニン・ノルアドレナリンの他にドーパミンがあり、それぞれのはたらきをかんたんに説明すると、• セロトニンは気分の落ち込みや不安を改善させる• ノルアドレナリンは意欲や気力を改善させる• ドーパミンは快楽や楽しみを改善させる と考えられています。 またセロトニンもノルアドレナリンも痛みの神経の神経伝達物質としての役割もあるため、痛みにも関係している事が分かっています。 このセロトニンやノルアドレナリンの分泌量がおかしくなってしまう事がうつ病や神経痛発症の一因だと考えられています。 サインバルタをはじめとしたSNRIは、神経間隙に分泌されたセロトニン・ノルアドレナリンが再取り込み(吸収)されないようにはたらきます。 すると神経間隙に長くセロトニン・ノルアドレナリンが留まる事になるため、神経間隙のセロトニン・ノルアドレナリン濃度が上がり、情報の伝達がスムーズになるのです。 またSNRIは「前頭葉のドーパミンを増やす」という報告もあります。 ドーパミンは快楽や楽しみに関係している物質であり、これも気力改善に役立っているのではと推測されています。 ちなみにSNRIにはサインバルタ以外にも何種類かあり、• (一般名:ミルナシプラン)• (一般名:ベンラファキシン) があります。 これらSNRIのそれぞれの特徴と、これらの中でのサインバルタはどのように位置付けになるでしょうか。 トレドミンは「副作用もあまりないけど、効果もあまりない」という評価であり、いまひとつ普及しなかった抗うつ剤です。 海外ではトレドミンは神経痛には適応はあるけども、効果が弱いためうつ病には適応がない国もあるほどです。 トレドミンと比べると、サインバルタの抗うつ作用は強い印象があります。 トレドミンとサインバルタは同じSNRIには分類されてはいますが、セロトニン・ノルアドレナリンの再取り込み比率や効力が違うため、効果もだいぶ異なっているのです。 セロトニン再取込阻害 ノルアドレナリン再取込阻害 サインバルタ 4. 6 16 トレドミン 203 100 この数値はki値というもので、低いほど作用が強いことを表しています。 同じSNRIでも、サインバルタとトレドミンは大分プロファイルが違うことが分かるでしょう。 ただしサインバルタは低用量(40mg)ではセロトニンを優位に増やしますが、60mgまで上げるとノルアドレナリンを増やす比率が増えてくることが知られています。 意欲改善を目的に投与する場合は、ここからは60mgまで上げるべきだと考えられます。 イフェクサーは、サインバルタよりもノルアドレナリンを増やす作用に優れます。 しかしイフェクサーは日本で発売される際の試験で一度「十分な抗うつ作用があるとは言えない」という結果となり、発売出来なかった過去があります。 その後の試験ではようやく有効性が確認でき、2015年に発売される事になりましたが、一度有効性を確認できなかったというエピソードから、もしかしたら私たち日本人には効きが悪い抗うつ剤なのかもしれません。 このような理由から、これらのSNRIの中ももっとも普及しているのはサインバルタになります。 3.サインバルタの適応疾患 サインバルタはどのような疾患に使用されているのでしょうか。 サインバルタの添付文書を読むと、 うつ病、うつ状態 糖尿病性神経障害に伴う疼痛 線維筋痛症に伴う疼痛 慢性腰痛症に伴う疼痛 に適応があると記載があります。 実臨床においてもサインバルタは「うつ病、うつ状態」に使うことが一番多く、また糖尿病性に限らず「痛み(特に心因性)」に対しても使用します。 心因性の疼痛を伴ううつ病の方や、意欲低下が主体のうつ病に使われることが多いお薬です。 セロトニンも増やしてくれるため、パニック障害などの不安障害に使うこともありますが、抗不安作用はSSRIの方が定評があるため、不安障害ではまずSSRIが用いられることが多く、サインバルタなどのSNRIが用いられるのはSSRIの効果が不十分である症例などに限られます。 もちろん、不安障害にサインバルタを投与することもあります。 しかし、例えば不安障害の一種であるパニック障害は脳の青斑核と呼ばれる部位のノルアドレナリン神経の過剰興奮が原因とも言われているため、ノルアドレナリンを増加させるサインバルタを使用する場合は、慎重に考える必要があります。 また、サインバルタはうつ病などに伴う心因性の疼痛にも効果があります。 うつ病では約6割近くの方が何らかの痛みを併発していると言われており、痛みが強いとうつ病の経過にも悪影響があることが分かっています。 痛みがひどく、内科や整形外科で調べてもらっても原因が分からない、という方は心因性疼痛の可能性がありますので、サインバルタが効く可能性があります。 4.サインバルタの強さ サインバルタは抗うつ剤の中ではどのくらい強いのでしょうか。 薬の強さを比較することは難しいのですが、参考になる研究報告の1つであるMANGA studyを紹介します。 この研究は、「抗うつ剤の強さや副作用の多さをランク付けしてみよう!」というものです。 研究結果には賛否両論ありますが「抗うつ剤に順位を付ける」 という前代未聞の試みであったため、大きな反響を呼んだ試験でした。 実はこの試験結果では、サインバルタは散々な結果でした。 「サインバルタは効果も低いし、副作用は多い」という結果になってしまったのです。 この図は、Manga Studyの結果を大まかに図にしたものです。 有効性とは薬の効果で数字が大きいほど効果が高いことを示しており、忍容性とは副作用の少なさで、大きいほど副作用が少ないことを表しています。 フルオキセチン(国内未発売)という抗うつ剤を「1」とした場合の、それぞれの抗うつ剤の比較で、これをみるとレクサプロやリフレックス、ジェイゾロフトなんかは好評価ですが、サインバルタやルボックスは残念な結果になってます・・・。 しかし、この報告はあくまでも参考程度にとどめるべきでしょう。 サインバルタは世界的に見ても処方数の多い抗うつ剤の1つですが、本当にサインバルタにここまで効果がないのであれば、世界でこんなに処方されるはずがありません。 私の印象としては、効果は1. 25、忍容性は1. 05といったところでしょうか。 効果もまずまず強いし、副作用も全体的には少なめです。 5.その他のサインバルタの特徴 ・意欲改善に効果を認める。 ・神経性の疼痛に効果がある。 ことがサインバルタの大きな特徴ですが、その他にも、 ・効果発現が早い。 ・SSRIと比べ、睡眠への悪影響が少ない などの特徴が挙げられます。 一般的に抗うつ剤は、効果発現まで早くて2週間、だいたい1か月はみてくださいと言われますが、サインバルタは実感として、1週間程度で効果は表れはじめます。 抗うつ剤の性能も時代とともに進化しているということなのでしょうか。 またSSRIは時に不眠の原因になることがあります。 これは、SSRIにノンレム睡眠(深部睡眠)を減少させる作用があるからです。 対してSNRIはノンレム睡眠をあまり減少させません。 不眠でつらい方は、そこでSSRIと加えると不眠がさらに悪化する可能性があるため、SNRIを使うといいことがあります。 6.サインバルタが向いている人は? 以上からサインバルタが向いているのはどのような方なのでしょうか。 サインバルタは意欲改善、疼痛緩和に効果が期待できることから、 ・意欲低下が主体、あるいは一番困っている ・内科や整形外科で原因不明と言われた痛みで苦しんでいる 方には良い適応となるのではないでしょうか。 加えて、 ・不眠をなるべく悪化させたくない ・できれば早めに効果が欲しい という方にも勧めやすいお薬です。 反面、イライラや焦燥感が主体となっているうつ病の方への投与は注意です。 症状を悪化させる恐れもありますので、投与は慎重に検討した方がいいでしょう。 内服初期の消化器症状がやや多いため、胃腸が弱い方はこの時期はつらいかもしれません。 何とか乗り切れればいいですが、どうしてもつらい方は別のお薬にすべきでしょう。 7.サインバルタの導入例 サインバルタはどのような使われるのでしょうか。 お薬の使い方は患者さんの症状や重症度によって異なってきますので、詳しい使い方は主治医に聞いて頂きたいのですが、ここでは一般的なサインバルタの使い方について説明します。 サインバルタは20mg1日1回投与から開始し、1週間以上の間隔をあけて20mgずつ増やしていきます。 維持量は40~60mgです。 40mgだとセロトニン優位に作用しますが、60mgまで上げるとノルアドレナリンを増やす率が上がってくることが報告されており、ノルアドレナリンを増やしたい方(意欲低下や痛みが強い方など)は60mgまで上げることが推奨されます。 薬効の発現は他の抗うつ剤より早い印象があり、1週間程度で効果を感じられる方も少なくありません。 内服初期の副作用は、吐き気・胃部不快感といった消化器症状が多く、動悸や焦燥感なども時折出現します。 心配な方はあらかじめ胃薬を併用して胃部症状を抑えますが、消化器症状のほとんどは初期の1~2週間で消失します。 まれにですが賦活症候群といって、内服初期に変に気分が持ち上がってしまうことがあります。 気分に影響する物質が急に体内に入ったことで 一過性に気分のバランスが崩れるために起こると考えられています。 賦活症候群ではイライラしたり攻撃性が高くなったり、ソワソワと落ち着かなくなったりします。 一時的なことがほとんどのため、抗不安薬などを併用して様子を見ることもありますが、自傷行為をしたり他人を攻撃したりと、危険な場合はお薬を中断します。 副作用は、軽ければ様子を見ますが症状に応じて、下剤や整腸剤、昇圧剤などを使って対応することもあります。 あまりに副作用が強すぎる場合は、別の抗うつ剤に切り替えます。 典型的な経過としては、 まずはイライラや不安感といった「落ち着かない感じ」が改善します。 その後に抑うつ気分が改善し、意欲ややる気などは最後に改善すると言われています。 効果を十分感じればその量のお薬を維持しますし、効果は感じるけど不十分である場合は、増量あるいは他のお薬を併用します。 1~2ヶ月みても効果がまったく得られない場合は、別の抗うつ剤に切り替えます。 気分が安定しても、そこから6~12ヶ月はお薬を飲み続けることが推奨されています。 この時期が一番再発しやすい時期だからです。 6~12ヶ月間服薬を続けて、再発徴候がなく気分も安定していることが確認できれば、その後2~3ヶ月かけてゆっくりとお薬を減薬していき、治療終了となります。 サインバルタは減薬時の離脱症状が時々問題となります。 サインバルタは剤型としてカプセルしかないため、錠剤と違い、「半分に割る」などの細かい調整ができず、徐々に減らしていくことが難しいからです。 は別コラムで詳しく書いていますが、医師の指示に従い、より慎重に減薬をしていく必要があります。 【メンタルヘルス向上のヒント】 【こころの病気】 - - - - -恐怖症 -- -- -- -- -- - - - - - - 【こころと身体の病気】 【お薬()】 - - -- -- -- - --超短時間型 --- --短時間型 --- --- --- --- --中時間型 --- --- --- --- --- --- --長時間型 --- --- -メラトニン受容体作動薬 -- -オレキシン受容体拮抗薬 -- -三環系抗うつ剤 -- -- -- -- -- -四環系抗うつ剤 -- -- - -- -- -- -- -- - -- -- -- - -- -- -その他 -- -- -- () - - - - - - - - - - - - - - 抗精神病薬 - -- -- -第2世代抗精神病薬 -- -- -- -- -- -- -- -- -- - - - - - ADHD治療薬 - 抗酒薬 - 漢方薬 - - - - 向精神薬の副作用 - - - 【精神科への受診】 【こころの検査】 【治療法】 【精神疾患と取り巻く制度】.

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サイン バルタ カプセル 20mg

用法・用量 (主なもの)• 〈うつ病・うつ状態、糖尿病性神経障害に伴う疼痛〉通常、成人には1日1回朝食後、デュロキセチンとして40mgを経口投与する• 投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する• なお、効果不十分な場合には、1日60mgまで増量することができる• 〈線維筋痛症に伴う疼痛、慢性腰痛症に伴う疼痛、変形性関節症に伴う疼痛〉通常、成人には1日1回朝食後、デュロキセチンとして60mgを経口投与する• 投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する• ・慢性腰痛、うつ病に効果があるが、初期のふらつき、嘔気対策が必要。 初期導入さえうまくいけば、よく効く。 (60歳代診療所勤務医、総合診療科)• ・末梢神経障害性疼痛でエビデンスがあり使いやすい。 うつ病にも出しやすい。 (30歳代病院勤務医、代謝・内分泌内科)• ・シャープに効くこともあり、うつ症状と共に疼痛を訴える患者さんにはよく使用しています。 (60歳代病院勤務医、精神科)• ・やはり痛みに対する適応を持っている点が大きいと思います。 患者さんに薦めやすいです。 (50歳代病院勤務医、一般内科)• ・意欲低下に対する改善作用が、他のSNRIに比べて期待できる印象があります。 (50歳代病院勤務医、精神科) 効果・効能 (添付文書全文) 1). うつ病・うつ状態。 2). 次記疾患に伴う疼痛:糖尿病性神経障害、線維筋痛症、慢性腰痛症、変形性関節症。 (効能又は効果に関連する注意) 5. 1. 〈効能共通〉抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること〔8. 1、8. 2、8. 3、8. 4、9. 1.5、9. 1.6、15. 1.1参照〕。 2. 〈うつ病・うつ状態〉本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること〔9. 7小児等の項参照〕。 3. 〈疼痛の効能共通〉疼痛に対して本剤を投与する場合は、自殺念慮、自殺企図、敵意、攻撃性等の精神症状の発現リスクを考慮し、本剤の投与の適否を慎重に判断すること。 4. 〈線維筋痛症に伴う疼痛〉線維筋痛症の診断は、米国リウマチ学会の分類(診断)基準等の国際的な基準に基づき慎重に実施し、確定診断された場合にのみ投与すること。 5. 〈慢性腰痛症に伴う疼痛〉最新の診断基準を参考に慢性腰痛症と診断された患者にのみ、本剤の投与を考慮すること。 6. 〈変形性関節症に伴う疼痛〉3ヵ月以上疼痛を有し、最新の診断基準を参考に変形性関節症と診断された患者にのみ、本剤の投与を考慮すること。 用法・用量 (添付文書全文) 〈うつ病・うつ状態、糖尿病性神経障害に伴う疼痛〉 通常、成人には1日1回朝食後、デュロキセチンとして40mgを経口投与する。 投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する。 なお、効果不十分な場合には、1日60mgまで増量することができる。 〈線維筋痛症に伴う疼痛、慢性腰痛症に伴う疼痛、変形性関節症に伴う疼痛〉 通常、成人には1日1回朝食後、デュロキセチンとして60mgを経口投与する。 投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する。 (用法及び用量に関連する注意) 〈うつ病・うつ状態、糖尿病性神経障害に伴う疼痛〉本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。 副作用 (添付文書全文) 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、必要に応じて、減量、休薬又は中止するなどの適切な処置を行うこと。 1. 重大な副作用 11. 1.1. セロトニン症候群(頻度不明):不安、焦燥、興奮、錯乱、発汗、下痢、発熱、高血圧、固縮、頻脈、ミオクローヌス、自律神経不安定等があらわれることがあり、セロトニン作用薬との併用時に発現する可能性が高くなるため、特に注意すること(異常が認められた場合には投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理と共に適切な処置を行うこと)〔10. 2参照〕。 1.2. 悪性症候群(頻度不明):発熱、無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗、白血球数増加、血清CK上昇(血清CPK上昇)等の異常が認められた場合には、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理と共に適切な処置を行うこと(また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられ、急性腎障害に至ることがあるので注意すること)。 1.3. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと〔9. 8高齢者の項参照〕。 1.4. 痙攣(0. 1.5. 肝機能障害(0. 5、9. 3.2、16. 6.2参照〕。 1.7. アナフィラキシー反応(頻度不明):呼吸困難、痙攣、血管浮腫、蕁麻疹等を伴うアナフィラキシー反応があらわれることがある。 1.8. 高血圧クリーゼ(頻度不明)〔8. 6、9. 1.2参照〕。 1.9. 尿閉(頻度不明):症状があらわれた場合には投与を中止し、導尿を実施するなど適切な処置を行うこと。 使用上の注意 (添付文書全文) (禁忌) 2. 1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。 2. モノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤投与中あるいは投与中止後2週間以内(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)の患者〔10. 1参照〕。 3. 高度肝機能障害のある患者〔9. 3.1参照〕。 4. 高度腎機能障害のある患者〔9. 2.1、16. 6.1参照〕。 5. コントロール不良の閉塞隅角緑内障の患者[症状が悪化することがある]。 (重要な基本的注意) 8. 1. 〈効能共通〉うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。 なお、うつ病・うつ状態以外で本剤の適応となる疾患においても自殺企図のおそれがあり、さらにうつ病・うつ状態を伴う場合もあるので、このような患者にも注意深く観察しながら投与すること〔5. 1、8. 2、8. 3、8. 4、9. 1.5、9. 1.6、15. 1.1参照〕。 1、8. 1、8. 3、8. 4、9. 1.5、9. 1.6、9. 1.7、9. 1.8、15. 1.1参照〕。 3. 〈効能共通〉自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること〔5. 1、8. 1、8. 2、8. 4、9. 1.5、9. 1.6、15. 1.1参照〕。 4. 〈効能共通〉家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患の精神症状の悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うように指導すること〔5. 1、8. 1、8. 2、8. 3、9. 1.5、9. 1.6、9. 1.7、9. 1.8、15. 1.1参照〕。 3.2、11. 1.5、16. 6.2参照〕。 6. 〈効能共通〉心拍数増加、血圧上昇、高血圧クリーゼがあらわれることがあるので、適宜、血圧・脈拍数等を測定し、推移等に十分注意すること〔9. 1.2、11. 1.8参照〕。 7. 〈効能共通〉眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させ、また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること。 8. 〈効能共通〉投与中止(特に突然の中止)により、不安、焦燥、興奮、浮動性めまい、錯感覚(電気ショック様感覚を含む)、頭痛、悪心及び筋痛等があらわれることが報告されているので、投与を中止する場合には、突然の中止を避ける(患者の状態を観察しながら徐々に減量すること)。 9. 〈糖尿病性神経障害に伴う疼痛〉本剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることから、糖尿病の治療を併せて行うこと。 10. 〈糖尿病性神経障害に伴う疼痛〉本剤の投与により血糖値上昇・HbA1c上昇等、糖尿病悪化することがあるので、血糖値の推移等を慎重に観察するとともに、必要に応じて糖尿病治療薬の用量調節を行うこと。 11. 〈慢性腰痛症に伴う疼痛、変形性関節症に伴う疼痛〉本剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることから、疼痛の原因があればその治療を併せて行い、薬物療法以外の療法も考慮すること(また、患者の状態を十分に観察し、本剤を漫然と投与しないこと)。 (特定の背景を有する患者に関する注意) (合併症・既往歴等のある患者) 9. 1.1. 前立腺肥大症等排尿困難のある患者:ノルアドレナリン再取り込み阻害作用により症状が悪化することがある。 1.2. 高血圧又は心疾患のある患者:本剤投与前に適切にコントロールし、定期的に血圧・脈拍数等を測定すること(心拍数増加、血圧上昇、高血圧クリーゼがあらわれることがある)〔8. 6、11. 1.8参照〕。 1.3. 緑内障又は眼内圧亢進のある患者:症状が悪化することがある。 1.4. 過度のアルコール摂取者:肝障害が悪化する可能性がある〔10. 2参照〕。 1.5. 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある〔5. 1、8. 1、8. 2、8. 3、8. 4、9. 1.6、15. 1.1参照〕。 1.6. 躁うつ病患者:躁転、自殺企図があらわれることがある〔5. 1、8. 1、8. 2、8. 3、8. 4、9. 1.5、15. 1.1参照〕。 1.7. 脳器質的障害又は統合失調症素因のある患者:精神症状が増悪することがある〔8. 2、8. 4、9. 1.8参照〕。 1.8. 衝動性が高い併存障害を有する患者:精神症状が増悪することがある〔8. 2、8. 4、9. 1.7参照〕。 1.9. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣を起こすことがある。 1.10. 出血性疾患の既往歴又は出血性素因のある患者:出血傾向が増強することがある〔10. 2参照〕。 (腎機能障害患者) 9. 2.1. 高度腎機能障害のある患者:投与しないこと(本剤の血中濃度が上昇することがある)〔2. 4、16. 6.1参照〕。 2.2. 軽度から中等度腎機能障害のある患者:本剤の血中濃度が上昇することがある。 (肝機能障害患者) 9. 3.1. 高度肝機能障害のある患者:投与しないこと(肝機能障害が悪化することがあり、また、消失半減期が延長し、本剤の血中濃度が上昇することがある)〔2. 3参照〕。 3.2. 軽度から中等度肝機能障害のある患者:肝機能障害が悪化することがあり、また、消失半減期が延長し、本剤の血中濃度が上昇することがある〔8. 5、11. 1.5、16. 6.2参照〕。 (妊婦) 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。 妊娠末期にSNRI、SSRIを投与された女性が出産した新生児において、入院期間の延長・呼吸補助・経管栄養を必要とする離脱症状と同様の症状が出産直後にあらわれたとの報告がある(臨床所見としては、呼吸窮迫、チアノーゼ、無呼吸、発作、体温調節障害、哺乳障害、嘔吐、低血糖症、筋緊張低下、筋緊張亢進、反射亢進、振戦、ぴくつき、易刺激性、持続性の泣きが報告されている)。 (授乳婦) 治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ラット及びヒトで乳汁中へ移行することが報告されている)〔16. 3.1参照〕。 2参照〕。 (高齢者) 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(高齢者では薬物の消失が遅延し、血漿中濃度が上昇することがある)〔16. 6.3参照〕。 また、高齢者においては、次の点に注意すること。 ・ 低ナトリウム血症、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)の危険性が高くなることがある〔11. 1.3参照〕。 ・ めまい等により転倒を起こすことがある。 (相互作用) 本剤の代謝には主として肝代謝酵素CYP1A2が関与し、CYP2D6も一部寄与している。 また、本剤はCYP2D6を競合的に阻害する。 1. 併用禁忌: モノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤<メチルチオニニウム・リネゾリド以外>(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>、サフィナミドメシル酸塩<エクフィナ>)〔2. 2参照〕[他の抗うつ剤で併用により発汗、他の抗うつ剤で併用により不穏、他の抗うつ剤で併用により全身痙攣、他の抗うつ剤で併用により異常高熱、他の抗うつ剤で併用により昏睡等の症状があらわれたとの報告があるので、MAO阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また、本剤からMAO阻害剤に切り替えるときは5日間の間隔をおくこと(主にMAO阻害剤による神経外アミン総量の増加及び抗うつ剤によるモノアミン作動性神経終末におけるアミン再取り込み阻害によると考えられる)]。 2. 併用注意: 1). ピモジド[QT延長、心室性不整脈<Torsades de pointesを含む>等の心血管系副作用が発現することがあるので注意すること(本剤は、ピモジドの肝での酸化的代謝を阻害し、血中濃度を上昇させると考えられる)]。 2). アルコール〔9. 1.4参照〕[相互に中枢神経抑制作用を増強することがあるので注意し、また、肝機能が悪化するおそれがある(アルコールは中枢神経抑制作用を有する、また、過度のアルコール摂取と本剤との併用により、肝機能が悪化することがある)]。 3). 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体、ロラゼパム等)[相互に作用を増強することがあるので、本剤及びこれらの薬剤の用量を減量するなど注意して投与すること(機序は不明)]。 4). メチルチオニニウム塩化物水和物<メチレンブルー>[セロトニン症候群があらわれるおそれがある(併用薬剤のMAO阻害作用によりセロトニン作用が増強される)]。 5). フルボキサミンマレイン酸塩、シプロフロキサシン、エノキサシン等〔16. 7.1参照〕[本剤の血中濃度が上昇することがあるので、本剤の用量を減量するなど注意して投与すること(これらの薬剤のCYP1A2阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇することがあり、本剤とフルボキサミンとの併用により、本剤の血漿クリアランスが減少したとの報告がある)]。 6). 三環系抗うつ剤(アミトリプチリン塩酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩、イミプラミン塩酸塩等)、フェノチアジン系抗精神病剤(ペルフェナジン)、抗不整脈剤(プロパフェノン塩酸塩、フレカイニド酢酸塩)[これらの薬剤の血中濃度が上昇することがあるので、これらの薬剤の用量を減量するなど注意して投与すること(本剤のCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の血中濃度が上昇することがあり、本剤とCYP2D6基質であるデシプラミンとの併用により、デシプラミンのAUCが増加したとの報告がある)]。 7). パロキセチン塩酸塩水和物、キニジン硫酸塩水和物等〔16. 7.1参照〕[本剤の血中濃度が上昇することがあるので、本剤の用量を減量するなど注意して投与すること(これらの薬剤のCYP2D6阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇することがあり、本剤とパロキセチンとの併用により、本剤の血漿クリアランスが減少したとの報告がある)]。 1.1参照〕[相互にセロトニン作用を増強することによりセロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがあるので、本剤及びこれらの薬剤の用量を減量するなど注意して投与すること(本剤はセロトニン再取り込み阻害作用を有するため、併用により、セロトニン作用が増強することがある)]。 9). 降圧剤(クロニジン塩酸塩等)[降圧剤の作用を減弱することがあるので、本剤の用量を減量もしくはこれらの薬剤を増量するなど注意して投与すること(本剤のノルアドレナリン再取り込み阻害作用によると考えられる)]。 10). アドレナリン、ノルアドレナリン[併用薬剤(特に注射剤)との併用により、心血管作用<血圧上昇等>が増強することがあるので、本剤及びこれらの薬剤の用量を減量するなど注意して投与すること(本剤はノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有するため、併用により、アドレナリン作用が増強することがある)]。 11). 血漿蛋白との結合率の高い薬剤(ワルファリンカリウム等)[相互に作用を増強することがあるので、本剤及びこれらの薬剤の用量を減量するなど注意して投与すること(本剤は血漿蛋白との結合率が高いため、併用により、本剤及びこれらの薬剤の血中遊離濃度が上昇することがある)]。 12). 出血傾向が増強する薬剤(非定型抗精神病剤、フェノチアジン系薬剤、三環系抗うつ剤、アスピリン等の非ステロイド系抗炎症剤、ワルファリンカリウム等)〔9. 1.10参照〕[出血傾向が増強することがあるので、本剤及びこれらの薬剤の用量を減量するなど注意して投与すること(SNRI、SSRIとこれらの薬剤との併用により、出血傾向が増強すると考えられる)]。 (過量投与) 13. 1. 症状 海外において、本剤3000mgを超える(単剤又は他剤との併用)過量投与が報告されている。 過量投与による徴候及び症状は傾眠、昏睡、セロトニン症候群、発作、嘔吐、頻脈であった。 2. 処置 過量投与時には、特異的な解毒剤は知られていないので、必要に応じて、活性炭投与等の適切な処置を行なうこと(本剤は分布容積が大きいので、強制利尿、血液潅流、交換輸血はあまり効果的ではない)。 (適用上の注意) 14. 1. 薬剤交付時の注意 14. 1.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。 1.2. 本剤は高温多湿を避けて保存するよう指導すること。 1.3. 腸溶性コーティングを施しているため、カプセルの内容物を砕いたり、すりつぶしたりしないで服用するよう指導すること(原薬が酸に不安定であり、胃酸で失活することがある)。 (その他の注意) 15. 1. 臨床使用に基づく情報 15. 1.1. 海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、本剤を含む複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。 なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した〔5. 1、8. 1、8. 2、8. 3、8. 4、9. 1.5、9. 1.6参照〕。 1.2. 主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。 (保管上の注意) 室温保存。 処方薬事典は医療・医薬関係者向けのコンテンツです。

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