ハッピーバースデー今日は1年に。 ハッピーバースデー!

ハッピーバースデー!

ハッピーバースデー今日は1年に

青子自身にもその自覚はあった。 幼馴染みで、しかも家族で懇意にしていることを最大限に利用した、ズルい戦法。 よくもまあ続いているものだが、やめようという気が青子にはなかった。 無防備に寝ている快斗を眺めるのは楽しいし、快斗にバレていないことが快感でもある。 そう、快斗はきっと気付いていない。 そのことを指摘されたことはないし、快斗が黙ったままでいるはずもない。 文句を言うか、からかいの対象にするかはわからないけれど。 そろそろカミングアウトしてもいい頃だと思うものの、どのタイミングで告げるのが最善かと青子はずっと悩んでいた。 怒りはしないだろうが、あまり良い顔をしないかもしれない。 それはちょっといただけない。 何せ、今日は彼の誕生日。 どうせなら、まるまる一日楽しく過ごしてもらいたいではないか。 だが、今日こそはと心に決めているのも確か。 秘密を秘密のままにしておくのも魅力的だけれど、今日は一年に一度の特別な日の、更に特別な日だったりする。 ちょっとしたサプライズがあってもいいだろう。 「うーーん…」 悩んで悩んで。 残念ながら結論は出なかった。 どのタイミングで話そうとも、結局は快斗の捉え方次第になってしまうからだ。 それは青子の領分ではない。 なるべく、穏便に済ませる努力はするけれど。 とりあえず、今日も例年通りに実行すべく、朝早くから、一人暮らししている快斗の部屋までやって来ていた。 恋人特権の合鍵で堂々と侵入して、寝室にそっと身を滑らせる。 薄手の毛布にくるまる快斗は、穏やかな寝息をたてていた。 大学生であると同時に新進気鋭のマジシャンとして話題に事欠かない彼も、寝顔は幼い頃と少しも変わらない。 その眉がしかめられていないことを見てとって、青子はほっと胸を撫で下ろした。 学校で居眠りしている時は熟睡しきっていたけれど、自宅で眠る快斗が苦しそうにしているのを青子は何度も目撃したことがあった。 その夢の原因がわかっている青子は、今は快斗が夢にうなされるはずもないと理解してはいても、不安になってしまうのも確かで。 穏やかな寝顔の快斗を見ると、妙に安心するのだ。 今日も心配が杞憂に終わって、ほっと息をつく。 物音一つたてないよう細心の注意を払いながら部屋を横切り、ベッドの傍らに膝をついて、あどけない寝顔にそっと顔を近付ける。 相変わらず長い睫毛に、ちょっとした対抗意識を燃やしつつ。 ハッピーバースデートゥーユー ハッピーバースデートゥーユー ハッピーバースデーディア快斗 ハッピーバースデートゥーユー 耳元で、微かな、本当に微かな囁き声で歌った。 それでも目を覚まさない快斗に満足して。 青子はにっこり笑った。 「誕生日おめでと、快斗」 ハッピーバースデーを歌った時と同じように小さな声だったけれど、気持ちは目一杯込めた。 だから、こぼれたのは、青子自身は気付いていないけれど、ひどく柔らかく甘い、極上の砂糖菓子のような囁き。 そして、その眦に触れるか触れないかのキスを落とした。 今年も、快斗は目を覚まさなかった。 満足度が更に増した青子は上機嫌になって立ち去った。 …いや、立ち去ろうとした。 「わっ」 一番最後にベッドから離れることになった左腕ががしっと掴まれ、そのまま後ろに、ベッドに引き倒される。 全く予期しない衝撃に、青子は自分の身に何が起きたのかさっぱり理解出来ず、あり得ない角度に天井が見える現状に当惑した。 「なんだよ、あれで終わり?」 全く寝ぼけていない声が耳元で聞こえた。 その声に我に返れば、背後からがっちり抱き締められていて、寝起きのはずなのに、やけにはっきりした眼差しの快斗の顔がすぐ傍らにあった。 それはもう、楽しそうに、ニヤニヤと。 おもちゃをもらった子供…と言えば聞こえはいいけれど、その頭の中はちっとも子供らしからぬことを企んでいることがひしひしと伝わってくる笑みで。 快斗が起きているなんて欠片も疑っていなかった青子は、顔を青くさせたり赤くさせたりと忙しい。 「かかかか快斗、おおおお起きてたの?」 「おう」 「いつから?!」 さてね、と快斗は肩を竦める。 一体いつから。 歌から? キスから? それとももっと前から? ぐるぐる混乱する青子を他所に、快斗はニヤニヤ笑いを抑えようともせずからかう。 「まさか青子ちゃんに寝込みを襲われるなんてね〜」 「狸寝入りなんてズルいわよ!」 「起こしたクセによく言うぜ。 つーか、寝込みを襲ったっつー自覚はあるんだな」 確かにそこに突っ込むのを忘れていた。 そんな揚げ足、取らなくてもいいと思う。 だが、これが快斗の快斗たる所以だ。 不埒な手を叩くと、ケッと可愛くない舌打ちが聞こえた。 「青子から誘ったクセに」 「さそってなんかない!」 朝っぱらから何を言い出すんだろう! 耳元とはいえ、甘い雰囲気の中で囁かれる時のような艶やかさがないので、なんとか平生を保っていられた。 一応、口説きモードではない、ということだ。 そもそも快斗が本気になったら、この程度で引き下がるはずがない。 「寝込みを襲っておいて、誘ってないっておかしいだろ、フツー」 「こ、これは、だから、その、ワケあって、やむを得ない事情で…!」 「テンパり過ぎ。 おかしー」 くつくつと喉の奥で笑い、快斗は青子を抱え直した。 …まだまだ解放する気はないらしい。 「で? ワケって?」 「うっ…」 確かに、今日こそは告げようと心に決めていたけれど! これでは最初から敗色濃厚ではないか。 下手したら、今日一日の計画だって台無しになりかねない。 快斗に抱きしめられ、ベッドに引きずり込まれている現状を打破しない限りは。 「さっきはすげー素直だったのになぁ」 はぁーと大袈裟な溜め息。 ここでムカッとなってはいけない。 なるべく穏便になるべく穏便に…心の中で呪文のように繰り返して自身に言い聞かせる。 「じゃあやっぱり無理矢理白状させるしかないかー」 「へっ?」 しょうがないなーと言う割にはウキウキした声と共に、快斗の手が再び青子のワンピースの襟元に伸びた。 慣れた手つきでさっさと白い肩を露にさせ、口唇を寄せる快斗。 「バ快斗! やめっ…!」 「青子が素直に白状するまでやめませ〜ん」 「〜〜〜っ! 白状するからっ! だから離してってば!」 「んなに頑なに離れようとしなくても…」 「快斗がこういうことするからいけないんでしょう?!」 ほとんど涙目だ。 穏便どころか不穏当そのものではないか。 青子の拒絶がよほど効いたのか、一応、これ以上のちょっかいを出すつもりはないらしく、快斗は大人しくなった。 …やんわりと青子を抱き込んでいることに変わりはないのだが。 「…で?」 「一番最初に誰よりも先に快斗に誕生日おめでとうって言いたかったの! 以上っ!」 「早っ!」 字面ではわからないが、驚くべき早口であった。 青子は、出来れば、突っ伏して枕にでも顔を埋めたいところだった。 恥ずかしいやら悔しいやら情けないやらで、わけがわからない。 「こんなはずじゃなかったのに〜。 快斗ってば、なんで今日に限って起きちゃうの?」 「今日に限ってって…今日初めてじゃないのかよ?」 「…通算8回目」 「……マジで?」 快斗の呆けた声に、青子も驚いた。 本当の本当にバレていなかったのだ。 高校生の時には、快斗に腕を掴まれたことも、頬にキスしたこともあったのに。 「8回目ってことは、中1ってことかよ…うわ、マジで? 全然気付かなかった…」 悔しいというより寧ろ戸惑っている様子の快斗。 青子に7年間も寝込みを襲われ続けたことにかけらも気付いていなかったことがよほどショックだったのだろう。 世界的大怪盗とやらを演じていたおかげで、人一倍気配には敏感だったはずだから。 「ふぅーん…」 「なによぅ」 「べっつに〜? 可愛いことしてくれんじゃんって思ってたところ」 「怒ってないの?」 「なんで? 怒る要素ないだろ」 「そう…? なら、よかった」 「なんでいきなりカミングアウトしたんだよ。 あ、ハタチだからか」 「そう。 特別だから。 …打ち明けやすいかと思ったの」 もうちょっと、違う立ち位置で打ち明けたかったが。 青子の数々のシミュレーションには、ベッドの中(しかも朝一!)で告げるというものはなかった。 「なんだよ、じゃあ、今日で打ち止め?」 快斗の発言に青子は目をぱちくりさせた。 気のせいでなければ、快斗の声には拗ねた調子が含まれている。 「……続けて欲しい?」 「青子に寝込みを襲われるなんて嬉しいシチュエーションがなくなるのは惜しい」 素直に振り返った青子を待っていたのは、意地の悪い笑みだった。 それはもう、青子が振り返ったことを心底後悔するくらいの。 即座にまた快斗に背を向けた。 「……もう二度とやらない」 「まあまあ、ほんの冗談だって! 可愛いって思ってるのはホントだしさ」 「……絶っっ対やらない」 「おーい、青子ちゃ〜ん?」 青子はつんとそっぽを向いて、振り返らなかった。 でも、互いに本気ではないことなど、始めからわかっていることで。 いつもより5割増しで快斗に甘い自覚のある青子は「これも誕生日だから仕方が無い」と、譲歩するのが祝う側の人間の義務だと自分に言い訳をした。 それから、もう一度、今度はちゃんと目を見て「誕生日おめでとう」と告げて。 きっと快斗は嬉しそうに笑うから。 そうしたら、とびきり甘いキスのプレゼントを贈ろう。 さあ、カウントダウン! 3、2、1…… 余談だが。 二度と、絶っっ対にやらないとまで宣言した青子が、快斗の寝室にこっそり忍び込んでハッピーバースデーを歌うのはその後2回ほど続く。 快斗、お誕生日おめでとう!パート2! 蛇足のつもりで書いてたら長くなった20歳版…。

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バースデーソング 歌詞「有華」ふりがな付|歌詞検索サイト【UtaTen】

ハッピーバースデー今日は1年に

内容紹介 【初回特典 封入 】ステッカー 25周年記念SG。 揺れ動き、切なく、しかし強い意志が込められたthe pillowsの新たな代表曲登場! 2013年9月16日からいよいよ結成25周年期間に突入するthe pillows。 そして結成日に記念シングルをリリース。 絶望と希望の狭間で揺れながらも確かな一歩を25年に渡り踏み続けた彼らが、 自らをロックミュージックとして体現したかのような名曲がここに誕生する。 コンスタントにリリース、ライブを続けてきた彼らにとって、そしてファンにとっても長すぎる活動休止期間を経て、 ついにポップロックモンスター、ザ・ピロウズが再始動。 そしてこのシングルをもって25周年の様々なイベント、ライブ、リリースが始まる。 15週年のミスチル、バンプetcが参加した豪華トリビュート、20周年のBEST盤、初となる日本武道館公演、 周年ごとに新たなファンを増やし続ける彼ら。 25周年はこれまで以上の盛り上がりを期待できる。 揺れ動き、切なく、しかし強い意志が込められた楽曲を収録。 C RS 転換期に生まれた名曲だと思います。 バンドの活動休止を、自殺未遂になぞらえた曲で、 ピロウズの曲の中でも屈指の重いテーマを扱った曲だと感じました。 本当に自殺未遂をして自分の体を傷つけるまでいかなくても、 そういう目に見える形として表れなかったとしても、 頭の中で、心の中で似たようなことが起こっている人は多いように思います。 そんな風に未来を悲観して、全てを終わらせるために目を閉じる。 だけど、気がついたらまた目を開けている。 これを何度も何度も繰り返す。 「先入観でくすんだ未来図も 塗り替わっていく 明日が今日になって」 という歌詞に全てが集約されているように思います。 「お前の未来予知なんか当たるわけないだろ」と言われているみたいで とても勇気付けられました。 聴き終わる頃には、それこそ電球の光のような小さな光が僕の中で輝いていました。 MVに出てくる「切れかけの電球」というアイテムのチョイスも流石で、 ピロウズのMVの中ではベスト3に入るぐらい好きなMVになりました。 シングルなので3曲と曲数は少ないですが、ハッピーバースデー以外の2曲も めちゃくちゃ良いので、はっきり言って7、8曲ぐらい入っているミニアルバムを聴くぐらい 聴き応えはあります。 アルバム待ちの人もぜひ買うことをオススメします。 映像の最後に少し驚きつつ納得。 2013年9月16日、the pillowsは25周年に突入した。 24年前に生まれたピロウズは、決して順風満帆ではない道のりを歩いてきた。 いや、むしろ苦難の道のりであった。 しかし、着実に歩き続けた彼ら"ロストマン"は、 多くの仲間"バスターズ"と、 自分達の奏でる音楽に対する自信を手にした。 ・ この「ハッピー・バースデー」は、 間違いなく新たな代表曲になり、 25年の道のり、そしてその先へと進み続けるための印になる。 彼らの四半世紀の歴史を知る人は、涙無くして聞ける唄ではないだろう。 「ハッピーバースデー 思い出したんだ 生きていること」 「先入観でくすんだ未来図も 塗り替わっていく」 「もういいやって 立ち止まった足は動く」 真っ直ぐでない道を 真っ直ぐな信念で進んできた彼らの葛藤・苦悩・希望が入り混じった歌詞が点在している。 そして、その言葉は長年のバスターズだけでなく、 ファン歴の浅いリスナー、 さらには新規リスナー・YouTubeで偶然出会った人にすら共感を与える。 ピロウズはただのロックバンドではない。 魂で歌い奏で、人に届ける力を持ったバンド。 ・ 25周年へとスタートした彼らの少し後ろを着いていこう。 おかしな動物達を連れ立って、 豪勢な街を抜け、虹をくぐって、 ロストマンは何を見るのだろう。 発売した頃に購入した者ですが…、今思い返してもとても素敵な3曲です。 シングルというよりは、トライアルとリンクしたミニアルバムのような気がします。 ハッピー・バースデーは元々ソロアルバム用の曲で、テーマがとても暗い曲です。 この曲は25周年に向けてのバースデーソングとして捉えると、少々薄っぺらく聞こえてしまうかもしれないですが ネガティブな想像を抱えながら前に進んでいく感情を歌詞や言葉だけじゃなくて、曲全体でそう聴かせているのがとても良いです。 テーマが人間臭いところが大好きでバンドソング云々よりも曲として、個人的にとても特別な曲です。 都会のアリスは、他2曲がしっとりしている曲なので聴きやすくていいです。 でも今思うと、この後ロックンロールの曲が多くなるのでそういう方向性を示した曲だとしたら結構重要なポジションの曲かもしれない気がします。 最近の曲と比べるとまだ少しどんよりしているので、そこが不気味でかっこいいです! クオーター 莫逆の友ですが、表題曲よりもこの曲がアニバーサリーソングだと思います。 感謝の曲でもあるけど、身近な人との最悪な別れっていうピロウズでは他に無いタイプの曲じゃないかな~。 ハッピー・バースデーみたいな曲も、この曲みたいな曲は2度と出ることはないだろうと思います。 諸々は置いておいて…私はさわおさんのソロが人生初のライブだったので、特にソロツアーについて触れてくれたのはとても嬉しかったです笑 2013年という割と近代で、50位のおじさん達がここまで繊細で今にも消えそうな曲を世に出せるというのは ピロウズだから当たり前のようにやってのけていますが、本当にとんでもなく凄いことだと思います。 このシングルから時間が経ち、この時よりも多くのアーティストを聴くようになってからよりそう思いました。 とてもパワーがある、非常におすすめのシングルです。

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ハッピーバースデー今日は1年に

zorome! 【本日の担当:さとるり】 今日でさとるりは33才になりました! 誕生日バフがかかっているので、いまとても浮かれポンチです。 名前を呼んで「おめでとう」って言ってくれた方、ありがとうございます~(素直にエゴサしたことを告白しますw) あれからずいぶん経ったのに……まだ私を認知してくださってること、本当に嬉しいです。 今年も元気いっぱい過ごします。 どうか皆さんにとっても幸せな1年でありますように。 皆さんが幸せなら私も幸せです! と、いうわけで、今日は最近のお仕事について少し紹介しますね。 水曜12時、ちょうど私のブログが上がるのと同じ曜日のお昼ですが、その時間に【しゃれこうべが語る元ネタの世界】というブログが公開されています。 そちらを第30回から、前任者から引き継ぐ形で私が担当させてもらっております。 が、これがけっこうおもしろいんですよ~。 先週今週と、『アーサー王物語』に登場する、円卓の騎士・ベイリンの話が公開されました。 それがさあ……あまりも悲しいじゃあないですか……。 アーサー王じゃなくたって泣くよこれ。 以前私、吉田秋生先生の『YASHA-夜叉-』が咽び泣くほど好きって話をどこかでしたように思うのですが、個人的に私が兄弟モノに弱いというのもあって。 このラストはもう……もう……。 来世も兄弟でいてくれや……。 しかし、どのゲームなどでもよく見る名前だなってモンスターやキャラクターって皆さんもいくつか思い浮かぶと思うんですが、意外と元ネタのことは知らなかったりしません? 私は知らなかった。 だからこういうのを知れると、おもしろいですよね~。 私はまだ、ラクガキレベルでしかお話書いていませんが、いずれ定年退職した後とかに本格的に創作するときが来るかもしれませんし。 そのときにこういう知識が役に立つかも、なんて思いながら、毎回楽しく村田さんの原稿を読んでいます。 これは創作されている皆様、チャンスかもしれませんよ?(私が読みたいだけという……) そんなこんなでお仕事のお話でした! 皆さんもぜひ【しゃれこうべが語る元ネタの世界】をチェックしてくださいね~! (編集部:さとるり) 編集部の今日の1枚 誕生日はもちろんカレーです! 松屋の創業ビーフカレーをテイクアウトしました。 これめっちゃおいしいんですよ~。 6月10日の注目記事ダイジェスト 2020年6月10日、スクウェア・エニックスは、スマホ向け新作タクティカルRPG『ドラゴンクエストタクト』の事前登録を開始した。

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